ジャンボジェット機の主翼に隠された秘密とは?

ジャンボが登場するまでは、機体が大型化すると離着陸に要する滑走路の長さも延びてきました。しかし、ジャンボは、開発された当時に飛んでいた旅客機707に比べて機体の重量が約3倍になったのですが、同じ距離の滑走路で離着陸可能。

重いジャンボが空に浮かび上がれる秘密は、テニスコート2面分といわれる大きな主翼に隠されています。一般に航空機は、主翼の上を流れる速い空気と下を流れる遅い空気の圧力差で生じる揚力を利用して空に浮かびます。そしてその揚力は離陸するときに最も大きくなります。

機体の重いジャンボジェット機の主翼が受ける揚力は、それまでの航空機よりはるかに大きく、この揚力に耐えられるようにジャンボの主翼は、しなやかで強靱な構造につくられています。

翼は、左右の翼それぞれに50~53個、400ミリ前後の間隔で配置された小骨に外板を張りつけ、リベットでしっかり結合した構造になっています。並んだ小骨の前と後ろには桁がつけられていて、揚力を桁、小骨、外板で分散、吸収するしくみに。さらに外板の内側には、より強くするため小骨と小骨をつなぐストリンガーが使われてます。

翼の外板に使われているアルミ合金も、押し縮める力の働く上面と上に反り返る下面とで使う素材を変えています。さらに、翼のなかに燃料タンクを装着することで揚力と重力のバランスをとって翼が折れることのないように設計されているのです。

翼の生命は「しなること」、といわれますが、ジャンボの翼はそれまでの旅客機に比べて最高にしなる翼なのです。ジャンボの主翼の前縁には、内側にクルーガーフラップ、外側に可変カンパーフラップというふたつのフラップがついていて、後縁にはトリプル・スロッテッド・フラップを装着しています。

これらのフラップによってジャンボジェット機は、離着陸時の速度をこれまでより下げても同じ揚力が得られるので、滑走距離を延ばさなくても離着陸できることになりました。

もうひとつ、スポイラーと呼ばれる機器が取りつけられています。着陸直後に主翼の上面に大きな板が6枚立って、空気抵抗によるブレーキ効果を発生させると同時に、車輪ブレーキの効果を高めて、着陸後の滑走距離の短縮に役立っています。

100型よりさらに19%重量が増した400型の主翼の先端には、ウイングレットがついています。これは、揚力で下から上に空気が逃げるときに生じる主翼の先端付近の空気の渦をなくし、新たに前向きの揚力を生み出す補助翼。

そして、主翼と胴体をつなげている部分の覆い(フィレット)をふくらんだ形にして揚力を高めています。

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