富裕層をターゲットにした飛行機乗り放題の全貌と今後の展開

普通の方の旅行や出張では、長距離であれば航空会社の飛行機で移動するのが一般的。

世界的な大富豪ともなると、移動時間をより快適にするため、自家用ジェット機を保有しているケースが多いと思います。

その中間に位置するいわゆる富裕層から、自家用ジェット機での旅行や移動というニーズが増えているそうです。

そういったニーズに応えるべく、アメリカで富裕層向けのジェットサービスが登場しています。

スタートアップ企業として登場したのは「ジェットスマーター」と「ビーコン」の2社で、ジェットスマーター社はすでにニューヨーク-マイアミ間とサンフランシスコ-ロサンゼルス間などで運航を開始しており、ビーコン社は9月中旬を目途にニューヨーク-ボストン間で1日に最大18便の運航を開始する予定となっています。

ジェットスマーターの創業者セルゲイ・ペトロソフ氏は、「我々が目指すのは、空の旅をすべてプライベートなものにして提供することだ」というビジョンを語っています。

2012年に設立されたジェットスマーターは顧客数こそ明らかされていませんが、2015年は1万便を運航する計画とされています。

同社はジェット機を所有せず、商用に登録されているジェット機のある一定量の「在庫」を事前購入し、提供するという事業形態をとっており、一番安いプランで年間9,000ドルで好きなだけジェット機での旅ができるようです。

宣伝らしいことは特にしていないようで、顧客のほとんどは口コミにより拡大しているとのこと。

サウジアラビアの王族の一人でジェットスマーターの投資家であるアブドラ・ビン・バンダール・ビン・アブドラジス・アル・サウド王子は「旅行の新しい概念が登場した今、ジェットスマーターのプライベートなサービスや事業は航空業界に革命を起こし続けるだろうと信じている」と語っており、富裕層向けの新しい形の航空サービス社に期待が高まっているようです。

2015年7月の発表によれば、同社は匿名の著名人やサウジアラビアの王族メンバー、「ゴールドマン・サックスやツイッターといった企業の最高経営幹部クラスを含む」個人の資産管理会社などから既に2,000万ドルの資金を集めているとのことで、さらなる拡大に向けて準備万端の様子。

一方ビーコンは、ニューヨークのウエストチェスター空港とボストンのローガン空港を結ぶ便が乗り放題となるサービスを提供します。

ビーコンの共同創業者であるウェイド・アイアリー氏の狙いは、ニューヨークとボストンの間をもっと早く快適に行き来できるようにすることにあります。

ニューヨークの中心部であるマンハッタンからボストンのダウンタウンまでの所要時間は、従来の電車移動では3時間半かかってしまいますが、ビーコンのサービスを利用すればウエストチェスター空港まで車で40分+飛行時間40分の合計約1時間半となり、時間を有効に使いたいというニーズに合致するでしょう。

ビーコンのサービスを利用するには、入会金が1,000ドル、費用は月2,000ドルからで、契約は最低3ヶ月以上となっています。

顧客層は、35歳から65歳で全体の6割が男性、平均年収は40万~50万ドルという層が多く契約しているようです。

アイアリー氏は、「時間を買い戻すということ。こなさなければならない雑用から、厄介な部分を取り除くのが我々の役目だ」と語っています。

同氏は2013年にビーコンと似た業態の企業であるサーフ・エアーという会社をカリフォルニアで共同設立していますが、本人によれば、ビーコンはダイナミック・アビエーションというグループと契約して運航を提供することとしており、この点で自社航空機を保有するサーフ・エアーとは大きく異なるとしています。

ジェットスマーターと同時期の2015年7月の発表によれば、同社は「シリーズA」とよばれる初期段階の資金調達でロムラス・キャピタル、マイ・ベンチャーズ、ウエスタン・テクノロジーズから750万ドルを集めたとのことです。

ジェットスマーターとビーコンの2社は、先行するビクター、ウブエアー、ジェットスイートといった富裕層向け自家用ジェットサービスを追求する企業各社の仲間入りをすることになります。

自己資金が潤沢にあり、時間に追われる顧客にとっては、このようなサービスを提供する会社が増え、新しくカバーできる路線ができるのは魅力的でしょう。

普通の暮らしをする人にはちょっと縁遠い話ではありますが、少し無理すれば手が届くかもという価格設定は興味をそそりますし、富裕層向けサービスとして成長分野であることは間違いないようです。

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