機内で「アツアツ」の機内食が食べられる秘密と仕組み

国際線のジャンボに乗る場合、機内食を楽しみにする人は、かなり多いのではないでしょうか。最近では、旅行会社や航路によってメニューの種類も豊富で、エコノミーでもかなりしっかりとした「空食」が味わえるようになってきました。

さて、そんな機内食がおいしい理由のひとつに、「温かいものは温かく、冷たいものは冷たく」という大原則が、ひとつのトレーの上で完成されている、という点があります。一見、当たり前のようですが、空の上の狭い空間で、いったいどのように温めているのでしょうか。

飛行機の出発前、食事の載ったトレーは、力ートと呼ばれる台車つきの箱に積み重ねてセットされ、専用のトラックで機内のギャレー(調理室のようなところ)に運びこまれます。トレーには、「アントレ」と呼ばれるメインディッシュをはじめ、サラダなど全メニューがそれぞれ皿に分けられています。

離陸後しばらくして食事の準備となるわけですが、客室乗務員がやることは、カートに専用のコネクターを差しこみスイッチON。これだけで、あらかじめアントレの下にセットされている「加熱板」によって、メインディッシュだけが素早くアツアツになるというわけです。あとはそのまま力ートを押して、お客様のもとに運ぶだけです。

ですが、このように便利な力ートが開発されたのは、かなり最近のこと。以前は、アントレだけを数個ずつオーブンに入れて温め、またトレーにセットしなおしていました。これがけっこうな重労働なのです。なにせ乗客が350人いれば350個、さらに食事が2回だとすると、計700個という膨大な数の「アツアツアントレ」を扱わなければならないからです。

狭いギャレーのカーテンを締めきって行なうアントレのセットは、その熱さと重さで汗だくになること必至。さらに肘まであるグローブをはめての作業ながら、火傷も日常茶飯事。新人の客室乗務員にとっては、その火傷が勲章(?)みたいなものだったとか。

今でも航空会社によっては、新型カートが完備されていないところもまだあります。そこで、フライトによっては、カーテンの内側で「熱い戦い」を繰り広げる客室乗務員も少なくありません。食事の際は、そんな彼女たちの奮闘ぶりをたたえながら、おいしく召しあがっていただきたいと思います。

関連記事

ページ上部へ戻る