旅客機のタイヤの寿命と交換方法
旅客機のタイヤも、人の手で交換します。
旅客機が空港に着陸するとき、車輪を出して滑走路に着地し、しばらく滑走してから、機体が停止します。このとき機体から下に出てくる車輪、正確には車輪周辺も含めた全体の着陸装置のことを「ランディング・ギア」と呼びます。
ジャンボ機(B747-400)の場合、前脚(ノーズギア)が1本、主脚(メインギア)が主翼用2本、胴体用2本。太いタイヤのついた車輪は前脚に2個、主脚には1脚に各4個、合計で16個。
これをすべて合計すると、18個になります。
タイヤの点検は、フライト前に欠かせない作業の一つです。溝がなくなってないか、亀裂や傷があったりしないか、とにかくジャンボ機のタイヤは過酷な環境で、酷使されるものだからです。
着陸のときにかかる機体の重量で、タイヤは押しつぶされそうになり、滑走路との摩擦で煙や火を噴くこともあります。どんなに丈夫なラジアルタイヤでも、離着陸のたびにすり減っていき、国内線ジャンボ機の場合、約200回弱の離着陸で、タイヤの溝がなくなるそうです。
タイヤの溝を「グルーヴ」というのですが、これが日本でなく熱帯の国だったりすると、もっと消耗が速くなります。タイヤがすり減ってしまうと、離陸時は思ったスピードが出なかったり、着陸時はブレーキが効きにくくなり、さまざまな不都合が発生します。
もちろん、旅客機のタイヤも自動車と同じく、すり減るままにしておくのではなく「交換作業」があります。特殊な作業車を使って機体を持ち上げ、交換作業をするのですが、ただ上に上げればいいというものではなくて、機体のバランスを取るため、かなりの集中力が要るそうです。タイヤそのものも重く、整備士3~4人で1時間程度かかります。
取り外したタイヤは、減った部分を取り除いて、新しいゴムを貼りつけ、再利用できるそうです。