暑い地上、寒い上空、旅客機のタイヤは大変!?

2005年6月、羽田空港に着陸した日本航空ボーイング767の前脚の車輪が二つとも外れてしまい、旅客機が動けなくなり、滑走路が閉鎖されるというトラブルがありました。同じ年の8月、同じ羽田空港で、これも日本航空のエアバスA300が着陸したときに、主脚のタイヤ1本がパンクして煙が上がりました。

2005年のこの記事だけを読むと、つい「航空機のタイヤって、すぐパンクするんだ」と考えそうになりますが、実はこれは珍しいことです。旅客機のタイヤは、そうそう簡単にパンクするようにはなっていません。むしろ珍しいのでニュースになったのです。

当時の新聞記事にも「着陸した際にタイヤがパンクして立往生するのは年に数回。タイヤそのものが外れるケースは非常に珍しい」とあります。

ジャンボ機のタイヤは、たとえばB747-400の場合、直径120センチ、幅50センチ、重量120キロ。もちろん自動車より大きいのですが、それでも機体の重量を増やさないようにと、極力、小さくて軽いものが使われています。タイヤを重く大きくすれば、それも燃料費に関わってくるからです。

離陸時に1本のタイヤにかかる荷重は、サイズのわりに大きい上、離着陸時にはタイヤと滑走路の間に摩擦熱が生まれ、250度にもなりますこれが、寒冷地や高い高度を飛ぶときには、マイナス何十度もの低温にさらされるのです。そこは自動車のタイヤとは全く違うところ。

そして、旅客機は空からドスンと地上に降りるわけですから、着陸時の衝撃を和らげるために、タイヤはたわむようにつくられています。こうした過酷な条件でも、タイヤはパンクすることがありません。昔は強化のための部材を表面に貼ったものですが、最近はバイアスタイヤからラジアルタイヤにかわり、強度が1.5倍になりました。

また、タイヤの中身は窒素ガスです。空気ではありません。窒素ガスはタイヤの空気圧低下を防いで、パンクの危険を減らす効果があります。

こんなによくできているタイヤが、たまにパンクするのはなぜでしょう。

これには「タイヤというより滑走路の問題ではないか」という説があります。滑走路内にはどうしても、小石がころがっていたり、異物が落ちていたりします。ずいぶんきれいにされていますが、完全にとはいきません。地面の異物がタイヤを傷つけたり、刺さったりするので、それがパンクするほど悪さをしているのではないか、という考え方です。

しかし、タイヤが1、2本パンクしても安全なように旅客機はできている上、上手なパイロットの手にかかると、ドスンと着陸するはずの旅客機が、実になめらかに、乗客になんの振動も感じさせず、静かに着地していき、これも静かにブレーキングして、すっと止まるそうです。

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