旅客機を「安く、手軽に、たくさん」使いたいなら・・・

新品でピカピカの旅客機を注文して購入すると、一機の値段がだいたい、1億2000万~8000万ドルくらいです。

これを日本円に直した金額は、その日のレートにより多少前後するわけですが、どうレートが前後しても、どう日本円に直しても、ものすごい高額であることに、変わりはありません。

なのに航空会社は、こういった金額の航空機を購入し、ビジネスを行い、ちゃんと利益をあげているのです。「航空会社はなんという金持ち」と思ってしまいますが、実はそうとは限りません。

すべての航空会社が「航空機メーカーに新品の航空機を注文して、購入している」わけではなく「中古機を買う」という方法があります。中古機と聞くと「危なくないの?」と思いますが、実際には、中古機は新品にはない別の「メリット」もあるのです。

中古ということは、一定の運航実績があり、保守整備も保たれているということです。状況にもよりますが「新品の初飛行」よりも、安全面で高い評価となることがあります。

それに、旅客機は新品を注文してから納品までに2~3年かかるのが普通なので、すぐ運航を開始したいとか、すぐ購入したいとかの場合は、中古機のほうが早くて安くて有効なのです。「安くあげるために、中古機で済ませておこう」ではありません。

ですから、一度に多くの航空機が必要な「新規の航空会社」を立ち上げるとき「最初は中古機から」は珍しくないのです。

航空機の寿命は約25年ですが「25年経ったから、スクラップだ」は、あまりにもったいない話です。整備によっては、30年くらいは問題なく飛べるからです。ただ、機体が古い分、整備するのに手間やコストがかかるのも確かで、整備費用とのバランスを考えながら「長いことお疲れさん、もういいよ」をします。

「もういいよ」といっても、そう簡単にスクラップにはしません。

よくあるのは「旅客機」から「貨物専用機」に転用し、運航を続けるという方法です。

中古機として、売りに出すこともあります。日本やアメリカはもちろん、タイの航空会社も、世界中で中古機が活用されています。中古機だけで運航している会社もあるくらいです。

それに、航空機にも「リース」があって、航空会社同士で貸し借りをすることもありますし、自動車を貸してくれる会社があるように「航空機のリース会社」もあります。リースを活用すれば、まとまった購入資金がなくても、旅客機を運航させることができます。

航空会社には「発注した新品が納品されるまでのつなぎの機種が欲しい」とか、「繁忙期で、一時的に使える数を増やしたい」とか、さまざまな状況が発生するので、そういう時にもリースは便利です。

「機種変更が手軽」なのも、リースの利点。乗客の増減に合わせたり、短期間に機種を変えることもできて、柔軟な対応ができます。

航空機の機体だけでなく、運航乗務員も客室乗務員も、丸ごと貸し出す「ウェットリース」と呼ばれるサービスまであります。最近は「ウェットリース専業の航空会社」まで出てきました。

スタッフなしに機体だけを貸し出すサービスの方は「ドライリース」と呼ばれています。

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