スカイマークとエアバス「A380購入契約の解除」の影響は

航空会社スカイマークが「航空機メーカー・エアバスとA380の売買契約について基本合意した」と発表したのは、今から4年ほど前。

2010年11月8日のことです。

売買契約は「2011年、スカイマークがエアバスから6機のA380を購入する」とされており、「エアバスは2014年にスカイマークの国際線用としてA380を2機納入する」としていました。

しかし2014年7月29日、エアバスがスカイマークに売買契約を解除する意向を示し、大きなニュースとなります。売買契約の解除が決定に至るのか、それによって両社がどういった影響を受けるのか、航空業界からの注目を集めました。

このニュースで報じられた航空会社「スカイマーク」は、1996年に日本初のLCCとして登場した航空会社です。

LCCは「Low Cost Carrier(ローコストキャリア)」の略。名前のとおり、運航に必要なコストを徹底的に見直すことで航空運賃の低価格化を実現しています。

LCC登場以前の日本では、航空業界には「日本航空」と「全日本空輸」の2社しかありませんでした。業界に同等の力を持った2社が並び立つと、まず起こるのは価格競争であるのが通常です。ところが日本の航空業界の場合そうはならず、航空会社2社による価格の独占状態が起こり、価格競争とはなりませんでした。

航空業界に価格競争が起こらないため、旅客機の搭乗料金などの価格が変化せず、当然、値下げなども行われません。スカイマークは日本の航空業界のコスト感覚に革新を起こそうという目的で作られた会社でした。

実際、スカイマークの登場で「日本の旅客機の航空運賃は高額なもの」という従来のイメージが一変します。同社は従来の日本の旅客機の搭乗料金からかけ離れた金額を提示したからです。

そのかわり、これまで無料と思われていたサービスがなかったり、有料となっていたり。LCCは「旅客機を純粋に交通機関として利用する」「旅客機は過剰なサービスや接待を受けるための乗り物ではない」というスタイルを追及しています。大手航空会社のいたれりつくせりのサービスに慣れている乗客の中には、戸惑った人も多かったようです。

LCCの登場は、日本の航空業界に「高速・大量に輸送できる乗り物」「優雅な接待を受けられる乗り物」という二つの選択肢を与えました。

あえてLCC事業に参入する大手航空会社も現れました。ANAホールディングスがLCCエアバニラを傘下に加えたのです。会社のサービス重視の方針は変えないまま、LCCの利点をも経営に取り入れたことになります。

ニュースで報じられたもう一つの会社・航空機メーカー「エアバス」はヨーロッパ系の企業であり、それまでアメリカのボーイング一社の独占状態だった航空業界に競争を生み出す目的で作られ、実際にそのとおりとなった会社です。

エアバス・ボーイングとも中・長距離用の大型旅客機を製造を主としており、近年はLCCの成長や経済の活性化により、小型機の受注も順調に伸びているとのことです。世界の航空機の大半は、この2社によって製造されていると考えてよいでしょう。

エアバスからスカイマークへ売買契約解除の意向が示されたのは7月末ですが、それに先駆けて2014年の春ごろから、両社間で「売買契約の内容の見直し」が話し合われていたようです。

見直しの話し合いが開始されたのは、スカイマークの経営状態の悪化が問題視されたのが原因と思われます。

スカイマークは国内線のみの運航でスタートした航空会社ですが、やがて国際線への参入を発表。それにあたってエアバスにA380を発注したものです。しかし、スカイマークの発注直後、極端な円安と原油の値上がりが発生。運航コストが急激に上昇し、スカイマークの経営状況にまで影響を及ぼしたため、エアバス側が「スカイマークにA380に関する支払い能力はない」と考えたようです。

エアバスは契約変更の一部として、スカイマークに対し大手航空会社の傘下に入るように提案しました。スカイマークの経営状態の改善につながると考えたためですが、スカイマークは「大手航空会社への傘下入りは考えていない」と意向を提示。エアバスの提案は拒否された形となります。

現状のスカイマークの経営状態では、提案を拒否すると購入代金を支払う目処が立たないのですが、スカイマーク側は提案拒否の代案となる解決手段を提示しようとしません。そこでエアバスが契約解除を決断、2014年7月末の契約解除の意向の提示につながったようです。

それに、問題となるのはスカイマークが航空機の購入代金を払えないことだけではありません。売買契約の解除によって数百億円とも言われる「違約金」が発生します。これに関しては契約内容の変更はされないようで、エアバスはスカイマークに違約金支払いの要求を検討しているとのことです。

スカイマークはA380購入代金の一部として約200億円までは準備があると推測されていますが、今後エアバスとの契約解消が決定し、違約金を支払うことまでが決定されてしまうと、非常に厳しい状況となるのです。

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