飛行機にとって離陸時の風向きは重要?

飛行機はふつう、離発着を向かい風のときに行います。「追い風のときには操縦もラク」というパイロットもいますが、これはあくまで、上空を航行しているときのことです。離発着時には、向かい風で速度を落としたほうが安全ですし、操縦にも時間の余裕ができます。とくに離陸のときは、真正面から風が吹いていたほうが、揚力が最大になりベストなのです。

それで、新しく空港を作るときは、設計段階で、非常に長い時間をかけて建設地の風向きを調べるのです。数年に渡って、平均的な風向きはもちろん、季節ごとに吹く風の特性も調査してデータ化します。飛行機に乗ったとき、離陸前の滑走路に「34L」「34R」「16L」「16R」「22」「04」といった表示があるのを見たことがある人もいるでしょう。これは滑走路の方角を示す標識なのです。

真北を360、真南を180とし、表示されている数字はその上2ケタを示しているのです。つまり「34」というのは、340のことで、飛行機から見て真北から20度、西方向を向いていることになります。

反対に「16」は、真南より20度、南南東方向に向いている滑走路の状態を表示しています。実は、羽田空港をはじめとして、日本の空港にはこの北西と南東に伸びている滑走路が非常に多いのです。これには、冬場になると北西からの強い季節風が吹くという日本特有の気象条件が関係しています。また、羽田空港や成田空港のように、北西や南東といっても、きわめて南北寄りの滑走路も多く見られます。

実は、冬には北西の風が吹きますが、夏の季節風は南から吹くことが多いのです。この滑走路の配置の仕方は、両方の気象条件を考慮した結果といえます。

とはいえ、いくら入念にデータを積み重ねて滑走路を配置しても常に一定方向の風が吹くとは限りません。飛行機にとって好ましくない強い横風が吹くときもあります。

2009年3月23日には、風向きがめまぐるしく変化する「ウインドシア」が発生し、貨物機が着陸に失敗。飛行機が炎上し、機体は全損、乗務員が死亡するという事故も起きてしまいました。

このような事故を防ぐためにも、大規模な国際空港では、様々な風向きに対応するため、滑走路を異なる方向にする工夫が見られます。羽田空港では、B滑走路が横風対策用として使用されています。

なお、成田空港のように同じ方角の滑走路が2つ以上ある場合は、「L」「R」という位置を数字の後に付けて区別しています。

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