離陸推力の大きさはどれくらいになるの?

離陸推力の大きさはどれくらいになるのでしょうか?ここで概算を出してみましょう。

推力の大きさは、取り込んだ空気の量と、どれくらいの速度で噴出するかによって決定します。ボーイングB777を例にしてみると、左右のエンジンの合計で約3トンもの空気を毎秒取り込んで、秒速290メートルの早さで噴出しています。これによって生じる力は、約89トンです。

一方揚力は、翼によって、空気を加速させながら流れる方向を変えることによって生じます。仮に飛行機の重量を300トンとするならば、揚力も300トンでなければなりません。そのためには、翼は、約30トンもの空気を毎秒ごとに、秒速100メートルに加速させて後方に吹き下ろすことによって、ようやく300トンの揚力を生み出せるのです。

飛行機の性能を測るものさしとして、揚抗比があります。これは揚力と推力の比です。エアバスA380の揚抗比は3.7となっていますが、他の機種でもだいたいそれくらいです。揚抗比は、大きければ大きいだけ小さい推力で大きい揚力を得ることができる、早い話が、小さい力で飛行機を飛ばすことができるということを示します。

ちなみに鳥の場合、必死になって羽ばたきながら飛び立ちますが、ある地点になると急にゆっくりと飛ぶように変化します。これは必死に羽ばたくことで、体重を支えるだけの揚力が生じるスピードになれば、あとは前進するだけの力を得られればよいので、ゆっくり飛ぶのです。

飛行機も原理は同じ。ボーイングB777の場合、重さが300トンで一定の高度と速度で飛行している時は、エンジンの力はおよそ17トンになっているはずです。離陸の時にあった揚抗比が3.4から18に増加したため、エンジンの力は17トンでいいのです。

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