離陸推力から上昇推力への切り替えのタイミング

離陸中止の判断と操作はパイロットが行いますから、離陸推力が自動でセットされていても関係ありません。

エアバス社の機体で離陸を中止する場合、離陸推力のまま、スラスト・レバーをアイドルまで絞ってブレーキを踏んでも意味はありません。そのため、離陸の途中で、パイロットがレバーを絞った時には、自動的にオートスラスト・システムが解除されるようにプログラムされています。

一方ボーイング社の機体の場合はどうなのでしょうか。ボーイング社の機体では、離陸中止のためスラスト・レバーをアイドルに入れたら、再びレバーが離陸推力のところまで動かないように、スロットホールドと呼ばれる、レバーが作動モーターから切り離された状態に移行します。そしてパイロットが自由にレバー動かせるようになるのです。

離陸に無事成功すると、自動的に離陸推力から上昇推力に切り替わりますが、エアバス社の機体とボーイング社の機体では方法が異なります。

エアバスA330では、自動的に離陸推力から上昇推力に所定の高度で切り替わります。それから上昇推力位置にレバーを移動するメッセージが表示され、そのタイミングでパイロットがレバーを動かすことになります。推力自体はすべて自動で制御されていますが、その結果と一致させるためパイロットが操作することになります。

ボーイングB777では、スラスト・レバーが自動で動き、上昇推力になるところで止まる設計になっています。自動制御される推力の変化をパイロットにその都度知らせるようになっているのです。

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