パイロッ卜が離陸時にチェックする3つの速度とは?

パイロツトがオート?スラスト?スイツチを「ON」にし、ブレーキを「OFF」にすると、エンジンの回転が速まり、離陸出力に上昇、機体が動きだします。

しだいに滑走路を走る機体のスピードは上がっていき、小型単発機なら時速60~70キロで離陸できるのですが、ジャンボ機のような大型機になると時速300キロというF1レース並の速度まで上げないと機体が空中に浮き上がりません。

そんな猛スピードで走るジャンボを操縦するパイロットは、離陸までのわずかな時間に3つの速度をチエックしています。ひとつめは「離陸決定速度」、機体が離陸するときの速度。離陸するかどうかを決める重要なチェック項目だけに速度計から目を離せません。機体のスピードがこの速度に達する前にエンジンの1基でもトラブルを起こしたら、パイロットはエンジンをアイドルにし、ブレーキをかけ機体を停止させます。

この速度以上になっているときに同様のトラブルが起こったら、機体を停止させないでそのまま離陸操作を継続して空中に機体を浮き上がらせます。ここで無理に停止しようとすると、機体は滑走路をオーバーランする事故になってしまうため。

ふたつめは「ローテーション速度」と呼ばれるもの。これは機首を上げるときの速度。機体のスピードが「離陸決定速度」を超えて機体が離陸すると、パイロットは「ローテーション速度」を超えていることを確認して機首を上げます。このとき、主翼に機体を浮き上がらせるのに十分な揚力が得られないと機首が上がらず、機体は上昇していきません。

パイロットは、すぐに操縦桿を手前に引いて主翼により多くの揚力を発生させる操作をしなければならず、このふたつの速度をチェックし、次の操作をするかどうかの判断をし、必要なら操作する時間は、合わせても2~3秒。パイロットが最も緊張する瞬間です。

3つめは「安全離陸速度」、離陸したジャンボが安全に上昇していくのに必要な最小の速度。離陸してここまで加速できれば、たとえ1基のエンジンが故障していてもジャンボは飛行を継続することができるように設計されています。

ところで、最初のポイントで離陸を断念して機体を停めようとしたけど、滑走路をオーバーランしてしまった、という事故はないのでしょうか。最新のジャンボジェット機の場合、離陸に必要な距離は、およそ3000~3300メートルとされています。

しかし、この距離は機体の重量や気温、風の方向や強さに影響され、向かい風のときは揚力が強まるので短くなり、追い風のときは長くなります。一回一回、離陸のときの気象条件や乗客数、貨物の量によって違ってくるわけですから、判断を誤ると事故が起こる可能性があり、かつてはそのような事故もあったようです。

そこで、各航空会社ではあらかじめ必要なデータを入力して機体が離陸できる距離を計算。滑走路の長さを超えるときは、エンジンの推力を変えるとかフラップ位置を変えるとか、オーバーランしないように対処。ときには、貨物や乗客を降ろすこともあるのです。

関連記事

おすすめ記事

ページ上部へ戻る