エンジンをスタートしたら、いよいよ滑走路に・・・

機体がプッシュ・バックされている間に、4基のエンジンはすべて始動します。タキシングできる場所まで来たら、いったん停止。ここで、地上の航空整備士から「パーキング・ブレーキON」とリクエストがあります。

前輪につながれていた牽引車が外され、航空整備士が機体の周囲の安全を確認してくれた上で「いってらっしゃい」と送り出してくれます。

副操縦士は、成田ランプにタキシングの許可をリクエストします。許可をもらえたら機長がパーキング・プレーキをOFFにして、スラスト・レバーを前方に進めます。エンジンの推力でジャンボ機が自力走行を始めます。

タキシングで進行方向を変えたいときは、ラダーペダルとステアリング・ハンドルで行います。

ラダーペダルでは前輪の向きを最大7度まで変えられます。それ以上の角度にしたい場合、ステアリング・ハンドルを使います。ステアリング・ハンドルは機長の左座席の左側、副操縦士の右座席の右側にあり、前輪の向きを70度まで変えることが可能。

タキシング中にも、チェック・リストに従って行う作業があります。フラップを20度下げてみて、また補助翼・昇降舵・ラダーを動かしてみて、動作に不具合がないか点検し、EICASの画面でも確認。

フラップは主翼の前方と後方についている可動翼。フラップ・レバーがコントロールスタンドの右辺、副操縦士の左手がすぐ届く位置にあります。

航空機は上空を飛ぶときにはできる限り速く、離着陸ではできる限り遅く飛ばなければならないという矛盾を抱えています。

速く飛ぶと目的地に速く着くので、より速く。大きく減速すればするほど、滑走の距離や時間を短縮できるので、より遅く。一つの機体に対して同時にそれを求められるので、航空機の性能が発達するにつれ、高速と低速の差は拡大しました。

そうなると、機首の上下だけで調整するには限界が出てきます。飛行機の翼に発生する揚力は速度の2乗に比例。低速を優先して翼を設計すると、高速時の揚力が過剰になります。高速を優先した設計では、低速時の揚力が足りなくなります。

その矛盾を解決したのがフラップ。

フラップの三段階の板を展開したり、格納したりすることで、翼の大きさや角度を変化させることができます。一つの飛行機が、角度や面積を変えた何種類もの翼を備えているのと同じ状態になるため、高速にも低速にも自在に対応できるようになったのです。

ジャンボ機の操縦席は、地上から測ると高さ10mくらいのところにあります。そこから地上を見下ろして走行します。目視だけでなく、NDの対地速度計も使えます。NDは、パネル中央のオートフライトの下にEICASがあり、そのEICASの左右に一つずつあります。それがNDで、NDのさらに左右がPFD、これも一つずつです。

進行方向はラダーペダルとステアリング・ハンドル、速度はスラスト・レバー、ブレーキングはラダーペダルを強く踏み込みます。

管制官に、滑走路が空いているかどうか確認。その時、自分より順番の早い飛行機が滑走路にまだいたら、ちょっと待機。前の飛行機が離陸していき、滑走路が空いたら管制官が教えてくれます。それから離陸となります。

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