中国国産機C919テスト飛行成功!負け惜しみだけではもう中国には勝てないという事実
2017年5月、中国製旅客機C919の飛行テストが行われ、無事成功しました。
メディアによってはこのC919を「中国初の国産ジェット旅客機」と報じていますが、実際は現在すでに中国国内で就航しているARJ21という小型機があり、中国製としては2番目のジェット機となります。
ただ、ARJ21が短距離用のいわゆるリージョナルジェットであるのに対し、C919は中・長距離用。また、主に中国内での運用を目的としたARJ21に対し、C919は国際的な航空機市場に打って出る意図がある飛行機。
エアバスのA320やボーイング737と競合する機体と見られています。
この点、カナダのボンバルディアが、エアバスやボーイングのニッチを選んだ機種を作っているのとは対照的で、よく言えば気概があるし、悪く言えば無謀。良くも悪くもいかにも中国人的な発想だといえるでしょう。
C919は、すでに中国国内の航空各社から570機の発注があるとのこと。広い中国では、国内だけでも中距離機の需要があり、C919は、すでに来年より運用予定となっています。
旅客機が製造国外の空を飛ぶためには、アメリカ連邦航空局や、欧州航空安全機関などの「型式証明」を取得する必要があります。これは、安全性基準だけではなく、騒音やエンジンからの排出物などの基準にも合格しなければ与えられません。
C919の開発会社である中国商用飛機有限責任公司は、欧州航空安全機関に型式証明の申請を出しており、これが認められれば、中国はエアバスとボーイングの牙城に挑むことになります。
C919については、日本国内でパクリだ売れるはずがないだなどと、いろいろなことが言われていますが、そういうのは全部負け惜しみ。
三菱のリージョナルジェット・MRJが、度重なるトラブルや納入延期になっているのを尻目に、中国の会社が日本の先を行くのがくやしくてならないだけ。
しかし、負け惜しみを言っているところで中国には勝てません。
「敵を知り己を知れば百戦危うからず」とは『孫子』の言葉を適当にいじくった言葉ですが、実際の『孫子』にあるのは「彼を知り、己を知る者は百戦殆うからず」そしてこう続きます「彼を知らず、己を知れば、一勝一負。彼を知らず、己も知らずば毎戦殆うし」。
相手の実力をはからず、ただ負け惜しみに終止するのは、彼も己も知らない者がすること。
『バック・トゥ・ザ・フューチャー』を見ると、戦後10年の1955年では日本の工業製品はアメリカでバカにされるレベルのものだったことがわかります。それが数十年で世界一の製品レベルにまでなれたのは、自らの力のなさを自覚し、先進国の力を認めて努力を重ねたから。
これまで、中国の工業製品はお世辞にも品質が高いとは言えませんでした。しかし、少しずつ追いついてきていることも事実。その実力を認めず、見下しているだけではいずれ追い抜かれることになるでしょう。
中国に勝つためには、まずフィルターを通さない本当の実力を知ること。それをやらずにいれば、いずれ日本の空もC919が飛び交うことになってしまいます。