ANA平子社長が顧客の利便性確保のために今後もオーバーブッキング継続と表明

アメリカで発生した、ユナイテッド航空の乗客引きずり下ろし事件は大きく報じられました。

あの事件は、簡単に言えばユナイテッド航空が社員4人を中継地まで移動させるため、満席だった座席を譲らせたというもの。

3人までは交渉に応じて席を譲ったものの、最後の一人はお医者さんでした。翌日に診察しなければならない患者さんがいるからと拒否したところ、強硬に引きずり降ろされたというものでした。

この件が、なぜか日本では「オーバーブッキング」によるトラブルとして報じられています。そして、オーバーブッキングの是非を問うという非常に的はずれな議論が繰り広げられる結果に・・・。

そのせいもあり、全日空の平子社長は記者会見において、オーバーブッキングを今後も継続する旨をわざわざ表明せねばなりませんでした。

航空会社ではオーバーブッキングは普通に行われていること。

それは、当日キャンセルが出ることをある程度見越したものであり、全日空は座席数分だけの予約を受けていると、キャンセルが出たとしてもその便に乗りたかった他の乗客が乗れず、利便性が落ちるからだと説明しています。

この理由は実際そうでもあるし、それは建前として、できるだけ空席を出したくないという営業上の本音も隠されているでしょう。

いずれにしても、ユナイテッド航空の事件でオーバーブッキングの存在を今更知ったからといって、文句を言うような問題ではありません。

日本にはフレックストラベラー制度というものがあり、オーバーブッキングをして仮にキャンセルが出ずに座れない人が出ても、通常は後からチェックインした人に事情を説明し、他の便へ振り替えてもらうなどの対応が行われています。

もちろんただ振り替えなどを行うだけではなく、マイレージか現金による補償なども行われ、振り替えが日をまたぐ場合は、宿泊施設の確保も行われる上、当然宿泊費も支払われます。

フレックストラベラー制度は2001年から行われているもので、もう16年もの歴史があり、それ以前にも航空会社は個別に対応をしていました。ですから今更騒ぎ立てるようなものではありません。

そもそもオーバーブッキングの実態を知っていれば、社員を運ぶ都合で引きずり降ろすという事件が、オーバーブッキングとは本質的に違うことがわかるはず。

批判すべきなのはオーバーブッキングではなく、あくまでユナイテッド航空の強硬なやり方でしょう。

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