NASAが電気で飛ぶ次世代プロペラ飛行機を開発中

アメリカには「Xプレーン」という第二次大戦当時から続いている長い歴史を持つプロジェクトが存在します。これは、アメリカ政府が主体となって、その時代の要請に応じた航空機を建造し、実験するというものです。

アメリカ航空宇宙局=NASAが設立されたのは1958年7月でしたが、その前身である国家航空宇宙諮問委員会=NACAの時代からXプレーンプロジェクトの中心的な役割を果たしてきました。

Xプレーンの1号機はXS-1で、これは人類史上始めて音速を超えた航空機。ちなみに、XS-1の飛行実験におけるテストパイロットは、『ストライクウィッチーズ』のシャーロット・E・イェーガー大尉のモデルとして知られる、アメリカ空軍のチャック・イェーガー大尉でした。

Xプレーンには他に、後にスペースシャトルの設計思想にも影響を与えたロケットエンジン飛行機X-15、オスプレイのご先祖ともいえるティルトローター実験機X-19などをはじめ、現在までに50を超える様々な機種があり、その中には飛行機やスペースプレーン以外にも、X-49のようなヘリコプターの実験機も存在します。

そして、現在NASAで開発中のXプレーンが「X-57」LEAPTech (Leading Edge Asynchronous Propeller Technology=最先端非同期プロペラ技術)です。

X-57は、簡単に言うと電池を動力としたプロペラ機。現在の航空機は、プロペラ動力やジェットエンジンで機体を高速前進させることで揚力を生み出しています。揚力は物体を宙に浮かせる力で、鳥類も羽ばたかずに滑空しているときは揚力を利用しています。

飛行機の場合、翼の形状によって翼の上と下の空気の流れを変え、そこに前進する運動を加えることで空気の流れを作って揚力を作り出して飛んでいます。ところが、X-57はこれまでの航空機とはまったく違い、翼に取り付けたプロペラによってその場で空気の流れを作り出すことで、揚力を発生させようという発想で設計されています。

つまり、プロペラ機といってもX-57の翼のプロペラは前進する力を生み出すことが主目的ではありません。翼自体に空気の流れを作り出すためにX-57の翼にはたくさんのプロペラが装着されています。NASAによるLEAPTechの公式サイトに掲載されているデザイン画を見ると、翼の前に左右合わせて20基付いているようです。

X-57のデザイン画は、これまでの航空機のフォルムと比べるとかなり特徴的で、まず、ずんぐりとした本体に対して本当にこれでいいのだろうかと思わされるほど翼が細いです。

翼にたくさん付いているプロペラも、数は多いとはいえ、また従来のプロペラ機とは使う目的が違うとはいえ、かなり小さいように思えます。素人目に見ると、アニメに出てくるような実際には飛びそうにない飛行機と比べても不格好です。

ところがNASAによると、X-57は約320kmで飛行できるようになる予定とのこと。

この不思議な飛行機は、もし完成すれば揚力を推進力で生み出す必要がないので長い滑走路が必要なく、プロペラ各基を状況によって最適化(つまり全てが一定の回転をするのではない=非同期)するので飛行効率も良くなる模様。

とはいえ、X-57は現在小型模型による風洞実験や、翼だけをトラックに乗せて走らせるなどといった基礎実験の段階であり、実機が空を飛ぶまでにはまだ時間がかかりそうです。

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