「ナッツリターン」ほどではなくても、日本でも機内迷惑行為は増えているという事実

2014年12月に韓国で起きたいわゆる「ナッツリターン」事件は、日本でも広く報じられましたが、その扱いはどうも社会問題のニュースというよりは、芸能ニュースと同列のようなおもしろおかしい扱いをされていたような印象がありました。

この「ナッツリターン」事件というのは、アメリカのジョン・F・ケネディ国際空港で大韓航空機のファーストクラスに乗った当時同社の副社長チョ・ヒョナが、キャビンアテンダントがマカダミアナッツを袋に入れて出したことに激怒し、それをマニュアル通りだととりなしたチーフパーサーを飛行機から降ろそうと、離陸準備中だった飛行機を無理やり搭乗ゲートまで戻させたというものです。

チョ・ヒョナ元副社長はその後逮捕され、懲役一年の実刑判決が下されました。この事件は、韓国の財閥による富の一極集中などの問題も浮き彫りにし、韓国では単なる横暴な一人の女性が起こした事件という以上の騒がれ方をしたようです。

で、結局のところナッツを出したCAの行動はマニュアル通りだったのか?これは、いきなりナッツを皿に出して提供するのではなく、必要かどうか乗客にお伺いを立ててから改めて皿に盛って出すという、ファーストクラスの接客マニュアルに則った行動だったとのこと。であるならば尚の事元副社長の行いは横暴に過ぎます。

日本では何か韓国で事件が起こるとまるでひとごとのようにして「やっぱり韓国は・・・」などと呆れ顔をしたりもする人が多いようです。しかし、これほどひどくはなくても日本でも似たような事件は起きています。

例えば、田中角栄の元秘書だった早坂茂三氏が離陸時に座席を戻さずシートベルトもしなかったのでCAが注意したら怒鳴り散らして離陸を遅らせたというのはあまりにも有名な話。この例は早坂氏が有名人だったために報じられたものですが、報じられていない部分では同種のことはたくさん起きているでしょう。

CAの接客マニュアルは、座席のランクによっても変わりますが非常にたくさんの規定事項が記され、CAはそれに従わなければなりません。これは上記のような迷惑な乗客が増えているからです。

根拠なく「日本ではそんなことはない」と言い張る人もいるかもしれませんが、平成15年に航空法第73条の「安全阻害行為等の禁止等」が改正されたのも、マニュアルでの対応ではもはや追いつかない飛行機内での迷惑行為の増加に対応するためであり、日本人のモラリティーの低下を反映しています。

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