飛行機のコクピットでコーヒーをこぼしたらこうなった・・・

電子機器にコーヒーをこぼしたから、カナダに緊急着陸。ユナイテッド航空の旅客機で、実際にあった出来事だそう。カナダで「ハイジャック発生」の緊急信号を受信して、航空会社に確認したら「通信機器の異常。ハイジャックは起きていない。なんの問題もありません」という回答。

ハイジャック的には問題ありませんでしたが、ジャンボ機としては大変なことになっていました。航空会社は「通信機器の異常」と回答しましたが、実際には通信機器が勝手に故障したわけではなく、パイロットにコーヒーをこぼされたのが原因でした。

コーヒーをかぶった通信機器が誤作動して、ハイジャック発生を報せるために特別に用意されている緊急信号を発信してしまった。それで地上に「ハイジャック発生」と伝わってしまったのです。

通信機器が壊れてしまったので、乗客はカナダの空港に緊急着陸。別の旅客機に案内され、それでシカゴに引き返して、翌日フランクフルトへ再出発となったそうです。現役のパイロットの方たちも、この事件には「コーヒー一杯で故障するなんて」と驚かれたようです。

現代の飛行機は電子機器のかたまりです。航空機の飛行のために搭載される電子機器をアビオニクス(Avionics)といいます。

戦闘機の機種によっては、一機を作るための予算の80パーセントが、アビオニクスに使われるそうです。機体に搭載されているアビオニクスを全部外して並べるとすごい数。合計したら何人分の重さだろうと思うような物量があります。

胴体とか翼とか、他の部分を作る予算は、残りの20パーセント。パイロットが乗っているのは飛行機なのか電子機器なのか、それが今どきの戦闘機です。

電子機器に関しては、ジャンボ機もたいして変わりない状況。ILS、FMS、PFD、CVR、トランスポンダ、GPS、GPWS、VHF、HF、TCAS・・・搭載の電子機器は、他にもたくさんあります。

電子機器は水に弱いので、コーヒー一杯で壊れても不思議ではありません。そうならないように作ることもできるのですが、難しかったり、余分の予算がかかったりするそうです。

飛行機を作るのにお金をかけると搭乗料金に反映されますから、パイロットにはフライト中のコーヒーをガマンしてもらうしかありませんが、ガマンするより、昔からコックピットで行われている方法があります。

昔の飛行機映画にそういうシーンがあったそうで、書いている私自身、そのシーンを観た記憶があります。コックピットで操縦中のパイロットに、客室乗務員がコーヒーを運んであげるのですが、「入れすぎだ」と怒られてしまいます。

「コーヒーカップになみなみとコーヒーを注いではいけない。機械にコーヒーがこぼれたらいけないから、もっと少なく入れるべきだ」という意味です。

映画ではない、実際に働いている客室乗務員は、客室ではともかく、コックピットではコーヒーをカップいっぱいに注ぐことはないそうです。ただ、問題を起こしたユナイテッド航空のパイロットは、通信機器の上にコーヒーカップを置いていたそうです。

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