飛行機は飛んでいる位置をどうやって調べているの?

道路標識がある地上ならともかく、そんな標識どころかこれといった目印もないような雲の上を飛んでいる飛行機が、どうやって自分の位置を知って目的地まで向かっているのか、そんなことを疑問に思ったことはないでしょうか?

プロペラ機の時代は今のジェット機のように高く飛べませんでしたから、目視で地形を見ながらコンパスで方向を定めるしかありませんでした。しかし、その時代より高く、そして遠くへ向かって飛ばなければならない現代ではそういうわけにはいきません。

行く方向を間違えるだけでも大問題ですが、領空侵犯をした民間機が戦闘機に撃墜されるなどということもありえるため、飛行機が自分自身の位置を正確に確定するというのは命にかかわる重大事。

というわけで現代の飛行機は民間の旅客機や貨物機、軍用の戦闘機にかかわらず地上の管制と連絡を取りながら、地上の通信局と宇宙の人工衛星双方からの観測用電波を受け取って位置を確認するという方法をとっています。

○双曲線航法

双曲線というのは二つの定点からの距離が一定であることを保った点が移動するルートのことです。双曲線航法は二ヶ所の発信局から対象物に電波を飛ばし、対象物まで電波が届く時間や位相の差から対象物の位置を求める方法で、飛行機に限らず、船の航行にも用いられます。

この双曲線航法には代表的な三つの航法があります。

1.オメガ航法

地球上にある8つのオメガ局(超長波発信局)から任意の組み合わせで送られてくる電波を受信し、オメガ局からの距離を求めて位置を確定する方法。オメガ局の一つは対馬にもありましたが、この方法は現在では用いられていません。

2.ロラン

2つの無線測位局から発信されたパルス波の到達時間差から位置を割り出します。現在ではロランの脆弱性を改善したeロランが用いられています

3.デッカ航法

ロランと同様2つの発信局から電波を発する点は同じですが、ロランがパルス波の到達時間から位置を求めるのに対し、こちらは連続波の位相差から位置を求めます。この方法も現在では用いられていません。

○グローバル・ポジショニング・システム

いわゆるGPSです。技術的には上記のロランの後継システムとなります。ただし、地上の発信局を用いるロランとは異なり、人工衛星からの電波を利用するので地形からの影響を受けずに電波を受け取れます。

元々はアメリカ軍の軍用設備でした。30個のGPS衛星のうち、対象物(飛行機)の上空にある数個の衛星からの信号を受信して3次元測位により位置を割り出します。

○超短波全方向式無線標識

VORとも呼ばれる航空機のための標識です。といっても、道路標識のような目に見えるものではありません。

「標識局」から信号を放射線状に発射して、それを受け取った飛行機と標識局までの磁北(磁石のS極が向く方向)から見た方位を割り出し、飛行機と二つの標識局との方位の交点から飛行機の位置を割り出します。

VORは今後GPSに転換されていくと見られています。

さて、このように飛行機の位置を割り出すことができると、それをオートパイロットに応用できるようになりました。ただ、位置情報だけわかってもどちらを向いているかがわからないといけません。そのためにはジャイロコンパスなどで自分がどちらを向いているかを割り出します。

位置情報と自分が向いている方向の情報を判断し、それによって操縦のコントロールを自動で行うのがオートパイロット。現在ではさらにその進化系としてGPSから得た位置情報と、予定航路のズレがあった場合はそれを自動的に修正する技術も生まれています。

離陸以外は着陸も含めほとんどオートパイロットが行ってしまう現在の飛行機ですが、ではパイロットはノンビリしていればいいかというと、そういう訳にはいきません。

飛行機のIT化が進む以前は、機長と副機長を補佐し、様々な計器をチェックするフライトエンジニアというスタッフが乗っていました。しかし現在少なくとも日本の民間航空会社ではフライトエンジニアは廃止されており、その分の仕事を機長と副機長が行うようになっています。

まず、フライトの前に気象状況や整備、燃料などのチェックを行います。上記の通り離陸は機長の操縦によって行われ、水平飛行に入ってからはオートパイロットに切り替わりますが、各種計器、レーダーなどを監視して異常がないか常に気を配っています。

管制と連絡を取り合い、進路上に気流の乱れなどがあった場合は進路変更を行います。そして、機内にトラブルが起きた場合は操縦をオートパイロットに任せて機長、副機長が対処にあたります。つまり、オートパイロットは飛行機の運行を効率よく行うためのものではあっても、パイロットが楽をするためのものではないのです。

オートパイロットはあくまで補助であり、安全な空の旅を支えているのは、やはり人間の力が必要不可欠であるということです。もっとも、いつの日か完全に無人でも安全に空を飛ぶ旅客機が出現することもあるかもしれません。

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