ANAが客室乗務員の募集を正社員に切り替えた本当の理由

国内二大エアラインといえば言わずと知れたJALとANAですが、経営破綻からやっと業績を回復させてきたJALに対し、ANAはかなり強気です。

国内線専業エアラインとして生まれたANAは、開業してからまもなく国際線に参入したJALに対しては国際線での業績で遅れをとっていました。ANAが国際線で黒字を出したのはなんと2004年のこと。国際線に参入してから20年以上の年月をかけて、やっと黒字化にまでこぎつけています。

そんなANAの転機となったのはやはりライバルJALの経営破綻です。これまで国土交通省は、羽田空港の発着枠をJALとANAに均等に配分してきました。しかし、経営破綻の影響でJALの発着枠は削られ、逆にANAはそれまで10路線13便だったところから17路線23便にまで増えました。

そうしたことも原因となり、2014年には座席数×運行距離で算出する輸送能力と、有償乗客数×飛行距離で算出する旅客輸送量ともに国際線でJALを追い抜きました。ANAは成田空港でもアジア各国から北米へのトランジット客を取り込むなどして意気軒昂。航空需要の増加が著しい東南アジア方面への航路拡大も目論んでいます。

こうした勢いに乗って、ANAは2016年度までに2014年度からの3年間で国際線の収入を45%アップした5485億円を目標とするなど、かなり強気の経営に転じています。

さて、このような拡大路線で不可欠となるのが人材の確保です。特に便数を増やすことで必要となるのが客室乗務員=CAです。

ANAは2013年末には雇用期間に期限がある契約社員として260人のCAの中途採用を行いましたが、2014年にはさらに正社員の長期社員としてCAの中途採用を実行。456人を採用しました。2015年には更に500人ほどの新卒CAを採用する予定であり、2013年から2015年にかけておよそ1200人という大規模なCA補給を行うことになります。

これにより、ANAのCAは約7000名ほどになります。

ANAがなぜ契約社員より様々な点でコストがかかる正社員募集に切り替えたか?それはANAが現状の航空業界に危機感を持ったためであるようです。

ANAに所属する全てのCAを統括するオペレーション部門副統括客室センター長・河本宏子取締役執行役員は、LCCが隆盛を極める今、よりいっそう競争が激しくなる中で共に考え働ける仲間をつくるためと言っています。

現在JALは業績を回復しつつある流れでCAの採用数を増やしつつあります。そうした状況で正社員としての採用に切り替えることで、優秀な人材を自社に引き込む心づもりもある様子。

河本氏は、正社員雇用により人材育成を強化して、CAをより早期に育成することで若い人材を伸ばしていきたいとしています。

実は1986年に国際線に参入したANAには、国際線の中核を担うことができるCAが少ないということで、国際線の強化をしていくためにはそのための人材を育てることが不可欠となっています。それもまた、今回の正社員募集への切り替えの理由ではないかと見られています。

JALよりもCAに求めるレベルが厳しいことで知られるANA。2020年の東京オリンピックを控え、海外からの訪問客が増えていく状況で、日本ならではなの「おもてなし」精神を体現できるようなCAが求められています。

もしANAのこの路線が成功するならば、生き残りのためにコストカットをして質を落とすというような流れが逆転し、多少コストがかかっても、質が高い人材を育成していくという流れが日本全体に広まるかもしれません。

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