LCCの誕生は時代の流れに逆行していたって本当!?

まだLCCが誕生する前、大手航空会社は他社と差別化をはかろうと、座席シートを立派なものに替えたり、機内食もレストランのように豪華に、そしてサービスも高級ホテルのようにと、競争がエスカレートしていました。

そんな時代の中、その流れに逆行するような取り組みをする航空会社が出てきました。サービスは最小限に、1回のフライトでできるだけ多くの人を乗せるといったように、徹底して運航や経営を単純化し、その分を運賃に還元して格安で航空券を販売するという格安航空会社が誕生したのです。

既存の航空会社は、もともと公的な存在で、その発足は各国政府にあり、国営から民営に移行しても、バックの国という組織は強力なものです。それに対し、格安航空会社LCCは比較的新しい航空会社で、新興エアラインといわれています。

そのLCCの先駆けとなったのが、アメリカのサウスウエスト航空です。サウスウエスト航空は、1967年にエア・サウスウエストとしてテキサス州で設立され、1971年に運航を開始しました。その後、1978年のアメリカ国内の規制緩和を追い風に、着実な路線網の拡大に加え、他の航空会社の買収、低運賃の設定などで急成長しました。

低運賃を実現するため、提供するサービスは最低限にとどめ、人件費以外の、徹底したコスト削減等が図られ、収益率は他社より高くなっています。その結果、1973年以来、米国の景気の動向に関わらず黒字運営している、全米で数少ない航空会社の1つとなりました。

では、サウスウエスト航空は、なぜ低価格を実現することができたのでしょうか。これまでのスタイルと違っていたのは、徹底したコスト削減を目指したこと。

当初はテキサス州内のバス移動に時間がかかったため、バスのような運賃で飛行機を飛ばせないだろうか、という発想からスタートしました。

そして、州内の三都市を周るだけの小さなエアラインとして運航を開始し、以来、大手が赤字や破産法の申請をする中、サウスウェストは、毎年利益を上げる優良航空会社として成長していきます。

その秘訣は、従業員がお互いに協力して作業効率を上げていること。

たとえば、客室乗務員が機内の清掃をすれば、整備士が飛行機の誘導から荷物の積み下ろしなども行うなど、少ない人数で最大の効果を発揮できるようにしています。2001年の同時多発テロで大手の航空会社の利用客が減っても、サウスウェスト航空の人気は衰えませんでした。

他にも、機内で配られるドリンクやスナックなどの軽食は提供しても、しっかりとお腹を満たせる機内食のサービスをなくしたり、できるだけ効率よく運航するため、航空機が空港に滞在している時間を極力短くしました。

ときには、空港に着いてから約10分で再び空へ飛び立つといいます。

そのため、機内の清掃は客室乗務員自らが行い、さらに着陸する前からその業務にとりかかります。

「社員第一、顧客第二」というポリシーにもありますが、読み終えた新聞があれば、乗客がまだ席についていても回収したりと、次の乗客が乗るまでの時間を短縮するとともに、清掃員にかけるコストを削減したのです。

また、保有する航空機を統一ししたり、就航する路線は大手の空港を避け、やや小さめの空港を選択、さらに旅行会社などを経由せずに、利用者へ航空券を直販するなど、徹底した低コスト戦略により、サウスウェスト航空は他社の5分の1から3分の1という、これまで考えられなかったような激安運賃を提供することに成功し、多くの顧客を獲得することができたのです。

さらに、空港の職員や自社のスタッフ、そして地域の人たちに愛されるように、州の旗をモチーフにした特別塗装機や、水族館とのコラボレーションでシャチを機体に大きく描いたりと、大人から子どもまでファンを増やしています。

また、サウスウェスト航空の企業方針は高く評価されており、2012年には、スイスの航空輸送格付け機関から「世界で最も安全な航空会社」の10社のうちの1社に選定されています。他にも、さまざまな経営本も出ており、投資家からも企業価値が高い航空会社として評価されています。

このような常識破りのビジネスモデルが次第にヨーロッパやアジアにも普及し、同様なビジネスモデルをもつLCCが次々と誕生してきました。そしてついに、2012年、日本LCCも誕生しました。

このLCCの普及により、特別な移動手段という印象の強かった飛行機も、電車やバスのように身近な移動手段となる時代が来るかもしれません。

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