国際線のコクピットの時計はどの国の時間に合わせるの?

国際線のジャンボは、日本からアメリカ、そしてオーストラリア経由でまた日本、さらに・・・と、まさに世界各国を飛びまわっています。当然、行き来する国によって時差があり、出発国と到着国の時刻は異なります。

日本からハワイ経由、アメリカ西海岸へのフライトを考えてみると、ハワイとの時差は19時間となり、またアメリカでは、夏時間と冬時間とがある関係から、夏では16時間、冬ならば17時間の時差となります。

そんな数々の時刻のなかを飛びまわるジャンボのコクピットにも、時計はあります。「そんなの当たり前じゃん」と言われるかもしれませんが、ではこの時計、いったいどの国の時刻に合わせられているか、ご存知でしょうか。

出発国に合わせたとすると・・・経由国や到着国の時刻を知るのに不便ですし、だからといって到着国に合わせれば出発国の時間が・・・と、いずれにせよ、何らかの不都合が生じてしまいます。

飛行途中で時刻を合わせ直す、という手もあるでしょう。ただこの場合、いったいどの時点で切り換えるのかという問題が出てきます。まさに、どれもこれも一長一短といった感じになってしまいます。

こうしたさまざまな問題を解消するために、どの国際線についても、コクピットの時計は、現在は「協定世界時」と呼ばれる、いわゆる「グリニッジ標準時」に合わせるという取り決めがあります。

さて、時差という問題は解決されたものの、まったく問題がないわけでもありません。この時計、常にバッチリ正確な時間を指しているというわけではなく、運航中に、わずかながら進んだり遅れたりするのです。

といっても、たかだか数秒程度の誤差なのですが、多くのパイロットにとっては、これがかなりのストレスになるといいます。「何もそこまで・・・」とも思うのですが、秒単位で仕事をしている彼らにしてみれば、われわれの想像以上に大きな問題なのです。

出発前、コクピット内の時計を、あらかじめ正確な時刻に合わせてきた自分の時計に秒までピッタリ合わせないと気がすまない。こうした「あくなき時間への正確さ」を追い求める姿勢は、コクピットを出てからも変わらない者が多いのです。あるパイロットによれば「立派な職業病」だそうです。

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