油圧装置が故障した場合にはどうする?

エンジンが故障すると、油圧装置を加圧しているポンプも停止してしまいます。そのため、長距離洋上飛行を行う双発機の場合、そのような事態を想定して、3系統の油圧装置を装備しています。

エアバスA330ではグリーン、ブルー、イエローの3系統、ボーイングB777では右、中央、左の3系統の油圧装置が装備されています。では、油圧装置が故障した場合の操作手順を見てみましょう。

まず、補助翼、昇降舵、方向舵などに関しては、2系統の油圧装置が同時に故障したとしても、支障なく動くようになっています。また、大量の油圧を使用する着陸装置やフラップは、油圧装置の故障に備えて、ほかの独立した方法で作動させることができるように、バックアップ装置が装備されています。

着陸装置に関しては、エアバスA330もボーイングB777も、1系統の油圧装置だけで作動させているため、この油圧装置が故障してしまうと着陸装置を下げることができなくなってしまいます。

そのため、これをカバーするためのバックアップ装置として、非常用の脚下げ装置が装備されています。これは、着陸装置とドアの格納固定状態を電動モーターにより解除することで、非常に重たい着陸装置が自重によってドアを押し開けて、自然に下がるというものです。

A330の場合には、フラップは2系統の油圧装置によって作動させて冗長性を保っています。しかしB777は1系統だけで作動させているため、油圧装置が故障した場合を想定して、非常用フラップ作動装置が装備されています。ちなみに、フラップや着陸装置を作動させている油圧系統そのものをバックアップする目的で、空気の力を使って回転するRAT(ラムエアタービン)が装備されています。

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