ドローンが飛行機に衝突するとどうなる?
鳥が航空機と衝突することをバードストライクといいます。
エンジンに吸い込むことが一番多いのですが、小さな鳥であれば運航に支障がないこともありますが、大きな鳥であったり、数羽を吸い込んだりすると、エンジンのブレード交換などが必要になることもよくあることなのです。
鳥が旅客機に衝突したらどうなるかは想像がつきますが、ドローンが民間機に衝突した場合はどうなるのでしょうか。
小型ドローンに対する規制緩和を請願しているUAS America Fundの依頼により実施された研究に基づく論文によると、航空機にとって小型のドローン(鳥とほぼ同じ重量)が衝突したとしてもバードストライク以上の危険はない、と結論づけています。
IEEE Spectrumのサイトでは、リポーターのDavid Schneider氏が別の記事において、非常に重要な問題を考察しています。
ドローンの硬質なボディと比較して、鳥には柔らかい肉がついていますが、空中衝突した場合にその差による違いは生じないのか、という点です。
結果的には、飛行機に衝突する物体の組成よりも、飛行機が衝撃を受ける場所の方がずっと重要であるということが判明したのです。
飛行機の胴体への衝突はエンジンと比べてリスクが低いのですが、一方でエンジンにぶつかったときに問題が起きるかどうかはジェットタービンがどれくらいの速度で回転していたかが重要になってきます。
小型ドローンが十分高い高度で飛行できると仮定しても、ジェットタービンに対するリスクはほとんどないということになるでしょう。
実際には、ジェット機が対応するべき恐ろしい相手というのは鳥やドローンだけではありません。飛行機のエンジンに吸い込まれる異物に関する専門家、George Morse氏が次のようにニュースサイトのSpectrumに述べています。
小型ドローンにはリチウムイオン電池が搭載されていますが、ドローンがエンジンに吸い込まれた場合、エンジントラブルを引き起こすのではないでしょうか。
電池の揮発性材料がエンジンの燃焼室に入ってしまうのではないかという懸念については、「エンジンがおそらく燃やし尽くすでしょう」という答えでした。
また、Morse氏の意見によると、ドローンは単独飛行するため群れで飛ぶ鳥ほど飛行機の命取りになることはありません。
以下は、Exponentが2014年12月に発表したドローンストライクとバードストライクに関する研究論文からの引用です。
空には100億羽の鳥が飛行しているにもかかわらず、空港以外の低高度においては鳥と航空機の衝突事故がきわめてまれにしか発生しないことから、ドローンなどの無人航空機が偶然、有人機と衝突する事故の確率は今後もきわめて低いと考えられます。
ドローンの飛行自体や飛行機に衝突することによって、飛行機自体が危機的な状況にさらされることはまずないと言っても差支えなさそうです。