ランディングに必要なTODとBODとは?

◆ランディングに必要なTODとBOD

旅客機が降下開始10分ほど前になると、操縦を担当するパイロットである、PFによる着陸についての打ち合わせである、ランディング・ブリーフィングが実施されます。

離陸前の打ち合わせであるテイクオフ・ブリーフィングと同様に、PFの意図(インテンション)と方針(ポリシー)、そして操縦を担当しないPNFとの役割分担などをはっきりさせておくことが大きな目的となります。

目的地の空港に着陸するために、まずは降下開始地点を確認します。巡航していた航空路を離れて目的地空港に着陸するために進入するときは決められた地点を決められた高度で通過する決まりになっています。

例えば、福岡空港などの西方面から羽田空港へ進入するには、房総半島の南にある“ADDUM(アダム)”という地点を高度10,000フィート(約3,000m)で通過しなければなりません。

通過する地点(BOD:ボトム・オブ・ディセント)と高度がわかれば現在位置と巡航高度から逆算して、降下しなければならない地点が決まります。その降下を開始する地点をTOD(トップ・オブ・ディセント)と呼びます。

TODは、巡航高度、飛行機の重さ、速度、上層風などの影響により大きく変化します。また、着陸する空港によって通過しなければならない高度が異なりますので、降下開始前に高度処理の手順を必ず確認しているのです。

◆空気の坂道を利用した飛行機の降下のしくみ

飛行機はどのようにして降下をするのでしょうか?それはパイロットが恐れる揚力を小さくして降下する(失速する)のではありません。

具体的には、例えば自動車がアクセルを踏み続けることで、タイヤと地面との摩擦力や空気抵抗とつり合って一定の速度で走ることができるのと同じように、巡航中はエンジンの力と空気の抵抗である抗力がつり合っているので、一定の速度でフライトしています。

この自動車のアクセルを離すとバランスが崩れ、摩擦力や空気抵抗により自動車は減速し、ついには停止します。

けれども、坂の上にいた場合は坂の上にいるだけで走るエネルギー(位置エネルギー)を持っているため、エンジンの力に頼らなくても坂道を下ることができます。急な坂では速度は速く、緩い坂道では速度は遅くなります。

これと同じように飛行機の場合でも、空気の坂道を下って降下します。

飛行機の空気の坂道の場合は自由に勾配を変えることができ、その坂道を下るためにはまず、スライス・レバーをアイドルにします。アイドルの状態で高度を維持していると減速し始め、高度ではなく速度を維持しようとすると機首をを下げることになり、自動車と同じように空気の坂道の上を降下することができます。

速度が速ければ空気の坂道は急になり速く降下し、逆に坂道を緩くするにするには速度を速くすればよいことになります。

◆速度一定かパスの維持か、2種類の降下方式の違い

通常のフライトでの降下は大きく分けて、速度を一定にして降下する方式と降下開始地点と降下目標地点を結んだ1本のパス上を降下する方式の2つがあります。

航空界でのパス(フライトパス)は、飛行機がフライトした軌跡あるいはフライトしようとする経路を意味します。

さらに、速度を一定にして降下する方式は3つに分かれます。まず、高速で降下する方式は、降下する時間が短くてすむ反面、降下開始地点が遅いので、その間に巡航で消費する燃料が多くなるため、結局トータルの燃費は悪くなってしまいます。

逆に、遅い速度で降下すると降下開始地点が手前になるため燃費は高速降下方式よりも少なくてすみますが、今度はフライトタイムが長くなってしまいます。

これら2つの方式のメリットを生かしたのが経済降下方式です。高速方式と低速方式の間の速度で、燃費と時間が最良となるような速度を算出して降下する方式です。

また、パスを維持して降下する方式は、勾配が3°前後となるようにTOD(降下開始地点)BOD(降下終了地点)を結んだパスに乗って降下する方式です。勾配3°の空気の坂道を自然と下るので、飛行速度はそのときまかせとなります。

なお、パイロットがフライト中にTODを簡単に算出する方法は、FMS(飛行管理システム)が開発されるよりかなり以前からありました。「3倍の法則」と呼ばれているもので、簡単な計算で算出できる割には正確なものでした。

◆飛行機のエンジンブレーキ!?アイドルの使い方について

標準操作では降下中エンジンはアイドルですが、地上で飛行機が軽い場合には誘導路を走行できます。アイドルでも空気を後方に加速して噴出しているので、小さいながらも推力があるからです。

けれども、高い高度から降下している場合のアイドル推力は、マイナスの推力つまり抗力になっています。高速で降下中はエンジンの噴出速度よりも飛行速度のほうが速く、結果的にエンジンが空気を後方に加速させることにはならないため推力の発生もなく、逆に抗力となっているのです。

このことから、空中では自動車が坂道を下る場合のエンジンブレーキの役割をするのと同じように、降下時にアイドルにすることが有効であることがわかります。

さらに効力を増やしたい場合には、翼の上にあるスポイラーと呼ばれる、何枚もの板がいっせいに立ち上がり空気抵抗を増やす装置である、スピードブレーキを使用しますが、パイロットにとっては飛行機を減速させるよりも降下率を大きくする、つまり垂直方向の速度を増すために使用する場合が多いようです。

例えば、前方にある雷雲を避けるために予定した降下地点を過ぎてから降下した場合、スピードブレーキにより降下率を大きくし、降下開始地点を遅くした分を取り戻しています。

しかし実際には、スピードブレーキの使用は飛行機に振動を起こし、快適性が損なわれるため、あまり使用しない降下プランを立てています。

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