航空業界からの環境への取り組み

皆さんは子供の頃、特別な乗り物であった新幹線や飛行機を見てはしゃぐこともあったのではないでしょうか。その憧れから、車掌さんや電車の運転手になりたい、パイロット、あるいは飛行場で働きたいと思っていた人も多いかもしれません。

飛行機に乗る機会があれば、空き時間を利用して送迎デッキで飛行機の離着陸を眺める、という人もいるでしょう。あるいは、今では空港はバラエティに富んだお店やレストランが多く出店し、アミューズメントスポットとして楽しむ人もいるかもしれません。

しかし、空港で働く人たちにとって、空港は必ずしも全てが華やかな場というわけではないようです。

例えば自動車でも問題になるように、飛行機でも排気ガスは大きな問題で、飛行機がエンジンをかけたときに出る排気ガスは、普通自動車の100台分に相当するそうです。飛行機1機で自動車100台分ともなれば、小さな空港でも、環境への負担は相当なものであることは想像に難くありません。

環境問題は、21世紀最大の課題の一つであり、地球環境や地域環境に配慮した循環型空港の実現が求められています。

国土交通省航空局においても、「環境に優しい空港-エコエアポート」実現のためのガイドラインが検討されています。日本では平成5年に環境基本法、平成12年には循環型社会形成推進基本法と、それに関連して「廃棄物処理法」や「資源有効利用促進法」等8つの法律が制定され、環境問題の解決に向けて取り組みを強化しています。

従来、空港における環境への対策として、主に空港周辺における騒音問題に取り組んできました。その結果、低騒音機の導入や住宅防音対策等の空港周辺対策が行われ、騒音問題が大幅に改善されてきました。

また、新しく空港を建設したり大規模に拡張する際には、環境アセスメントを行い、海上空港など、騒音対策を考慮した計画を立て、建設技術も環境に優しいものが採用されています。さらに工事中の環境保全管理なども考慮されています。

ところが、空港の日常的な運用、特に省エネ、リサイクルといった面での取り組みは不十分でした。

このような状況から、建設段階だけでなく、施設の改良、維持管理、運用段階を含めた環境配慮型の空港へと取り組んできたのです。

具体的に代表的な空港を例にとってみてみると、成田空港では、「空港づくりは地域づくり」という考えのもとに、「地域と共生する空港」の実現に向け、「エコ・エアポート」の構想が策定されています。

成田空港で大きな問題として取り上げられる騒音問題に対しては、騒音の小さな機体ほど着陸料金を30%安くするという制度を取り入れており、その効果もあって、航空機そのものの騒音は、航空機の小型化や製造技術の進歩により、新型の低騒音型の機材が開発され、そういった機材への交代が進み、年々小さくなっている上、新制度の導入以降、低騒音型の就航割合が増加しています。

また空港のみならず、その周辺地域に関しても、騒音の被害を少しでも減らすために、空港およびその周辺で、防音堤や防音林、防音壁など、さまざまな対策を行っています。

また、住宅や学校、病院などに対し、窓やドアを防音アルミサッシにするための防音工事の助成などを行っています。

他にも新関西国際空港は、航空機騒音問題が生じないように計画された海上空港で、空港内の緑化や水循環の実現、省エネ、低公害車の導入等の対策がとられています。

また、新関西国際空港はスマート愛ランド構想の一環として、空港島内で太陽光や水素等のクリーンエネルギーによる創エネに取り組み、人と地球にやさしい「環境先進空港」を目指しています。

また、「グリーンアプローチ」と呼ばれる新しい航空機の降下方式(CDA)が試験的に導入されています。これはCO2の排出削減効果を検証するために国土交通省が実施しているもので、国内で初めて導入されました。

国土交通省の試算によると、1日5機で実施した場合、燃料は年間で約47万リットル(約1800万円分)節約することができ、一般家庭約223世帯分の年間排出量に相当するCO2を削減できるとしています。この方式は欧米の一部空港で導入され、「3%ほど燃料を削減できた」とのデータもあります。

海外の空港においても、空港や地域の特性を踏まえた対策を行っています。

日本とドイツはもちろん、欧州、アフリカなどを広範囲で網羅するルフトハンザですが、環境とのバランスを常に心がけており、CO2削減やエコ対策に積極的に取り組んでいます。例えば、最新鋭の航空機を運航することで、燃料効率の向上やCO2排出量の削減、騒音の低減に努めています。

他の国々でも、滑走路でのリバース禁止や航空機の補助パワーユニット使用時間の制限を行っているコペンハーゲン空港、航空機のエンジンからの離着陸時のNOx(窒素酸化物)、HC(炭化水素:ハイドロカーボン)の平均排出量に応じて、最大30%の着陸料の割り増しを行っているストックホルム・アーランダ空港など、環境に配慮した空港は世界各国で広がっています。

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