エアレース日本大会・千葉の空を零戦が飛ぶ

レッドブル・エアレース・ワールドシリーズは2003年に始まった飛行機レース。

よく「空のF1」などという言い方をされますが、F1レースとは違い1機ずつがコースタイムを競うタイムトライアルのため、F1とはまったく違うものです。

日本でも2015年から毎年千葉県で開催されるようになりました。2017年の6月にも開催され、2016年の千葉大会に続き、日本人パイロットの室屋義秀選手が優勝を果たしました。

さて、6月3日、4日に行われたこの大会に華を添えたのが、会場上空に飛来した第二次世界大戦中の名機・零戦。

この機体は正式には三菱重工業製造の零式艦上戦闘機二二型で、パプアニューギニアに墜落していたものを復元したもの。

もっとも、エンジンはカナダ製のものを載せているとのこと。とはいえ、現存する零戦の中で、つまりレプリカではない当時の機体を使ったものの中で今でも空を飛べるのは、この機体を含めてわずか3機のみ。

この零戦の飛行展示は「零戦里帰りプロジェクト」の一環として行われました。勘違いしてはいけないのは、「零戦里帰りプロジェクト」はなにも戦争賛美の目的で行われているのではないということ。

「零戦里帰りプロジェクト」によれば、日本人自身が設計し、作り上げたこの飛行機を蘇らせ、本来の日本人らしい職人的な「ものづくり」の原点に立ち返ることが目的だそう。

確かに今、日本の製造業は大きな岐路に立っています。シャープは台湾企業に買収され、東芝は自業自得の自滅状態。

かつて、この零戦を作り上げた三菱重工業の旅客機、三菱リージョナルジェット=MRJは、数度のトラブルと5度の納入延期により、存続自体を危ぶむ意見も出るほど。

製造業に身を置かない筆者が、軽々しくその原因を説くことはできませんが、確かに今日本からはものづくりの原点が失われつつあると思います。

零戦を飛ばしたらそれを取り戻せるという単純なものではありませんが、何かのきっかけになればいいのではないでしょうか?

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