超音速旅客機の開発がNASAと民間企業で現在進行形中

コンコルドが退役したのは2003年で、その後、営業している超音速旅客機は存在しません。ですが、超音速旅客機の営業運航がとりやめになったわけではありません。超音速旅客機の開発は、いくつもの会社や団体で、現在も着々と進められているのです。

その中で大きな位置を占めているのがNASA。新世代の超音速旅客機を実現すべく、研究を続けています。

超音速旅客機を開発する際の、最大の課題は「ソニックブーム」。航空機などが超音速で飛行した際、地表まで届いてしまう衝撃波のことです。このソニックブームがさまざまな問題を引き起こすため、超音速旅客機の普及は、これまで困難とされていました。

ですが、NASAの開発パートナーであるボーイング社と、ロッキード・マーティン社が、それぞれ異なった手法で、ソニックブームの低減を試みています。ボーイング社が提案したアイデアは、エンジンの位置を変更すること。エンジンを翼の上側に設置するデザインを考えだしました。

ソニックブームの衝撃波が上空に向かって拡散するため、地表への影響が低減できるのだそうです。

ところがこの方法だと、エンジンのパフォーマンスが低下してしまいます。そこをどう解決するかが今の課題です。

一方のロッキード・マーティン社は、定石どおりエンジンは3機。翼の下に2機と、機体の後ろ上側に1機あります。同社のアイデアは、ソニックブームを低減する新しい形状をした機体を作り出そうというものです。

また、米アエリオン社が5月19日、超音速ビジネスジェット機であるアエリオンAS2の構想を発表しました。NASAと共同研究をしている会社の一つで、民間の旅客機というより、個人や企業が利用するビジネスジェットの会社です。既に50件以上の発注を獲得しているそうで、2021年には、超音速ビジネスジェット機を市場に投入したいとしています。

マッハ1.6で飛び、2人の乗員と12人の乗客を乗せられるのですが、その上、音速以上と音速以下の使い分けができます。陸上では音速を下回る速度で飛行し、洋上に出るとマッハ1.6で飛行する、ということができるのです。

現在の航空法のまま、それに従って運航できます。それによって市場への早期投入を実現しようとするものです。

超音速旅客機が実現すれば、東京からロサンゼルスまで6時間足らず。

観光やビジネス、さまざまな経済活動がより活発になることでしょう。

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