50年前の海外旅行は超高価!?

今では日本国民であれば(特殊な条件にある人以外では)誰でも日本のパスポートを取得し、気軽に海外旅行に行くことができますが、その「海外渡航」が日本人に対して自由化されたのは1964年4月1日のことでした。

それ以前は政府が国民の海外渡航を規制しており、海外へは留学、技術指導や輸出入などの業務、企業や役人の視察などにのみ許されていたのです。

つまりは、現在のような観光や遊びが目的の海外旅行は皆無であったということです。

日本政府が国民の海外渡航を自由化した1964年前後は、高度経済成長によって国民所得が急激に増え、東京オリンピックが開催されるなど、敗戦後の焼け野原から日本が急速に復興していった時期でした。

とはいえ、渡航が自由化された当時の海外旅行というのは、贅沢どころの話ではありません。例えば、今日では10万円もかからずに行けるハワイツアーも、1964年当時には36万4,000円でした。しかもこれは大卒の国家公務員初任給が2万円弱という時代の値段であり、現在の価値基準からするとおよそ400万円ほどという価値になります。

ヨーロッパツアーに至っては当時の価格で67万5000円。現在でいえば700万円にも値するというものでした。しかしそれでもその年の旅行者数は12万人以上にもなったといいます。

古い映画などで、外国へ行く船をたくさんの人が桟橋で見送るというシーンがありますが、当時は空港もそのような状況だったらしく、旅行者はスーツ姿で、大勢の親類縁者に見送られての出発であったそうです。

渡航が自由化になったとはいえ、観光目的の場合は年間で許されるのは1回のみ。そして、お金は500ドルまでしか持ち出してはいけないという制限がありました。1964年当時は1ドル=360円の固定相場の時代だったので18万円までとなります。

とはいえ、数百万円する旅行に年に何度も行く人もいなかったであろうし、18万円というと現代の価値で言えば200万円弱なのでそれほど問題ではなかったでしょう。

1964年以降はJAL主催の「ジャルパック」、JTBの「ルック」、日本旅行の「マッハ」、近畿日本ツーリストの「ホリデイ」など今日まで続くツアーブランドが続々と誕生しました。

海外旅行が非常に高額であったために、当時の旅行代理店は金融機関とのタイアップにより、旅行積立預金というものもあったようです。

また、現代では却って贅沢な旅になっている船旅も、当時は飛行機よりは安価だったために、海外旅行には船でという選択肢もありました。ハワイまでは船オンリーで、ヨーロッパ各国まではまず船でソ連に渡り、シベリア鉄道で陸路を移動というルートをとって旅行した人もいました。

そのような時代から半世紀経った今日では、世界中で日本人が行っていない場所はないのではないかというような状況です。さらに半世紀ほど経った未来では、海外旅行は現代よりさらに気軽なものになっているのでしょうか?興味は尽きません。

関連記事

おすすめ記事

ページ上部へ戻る