日本の民間企業のアジアへの進出と今後の可能性

今や航空機は世界中の国と国と結ぶ重要な交通機関となっていますが、技術的に未発達なアジア圏の国々では、航空産業はまだまだ発達する可能性を秘めた事業でもあります。

その需要と技術協力の目的で、双日や日本航空などが出資するJALUX(ジャルックス)と三菱商事は、2014年11月17日に、滑走路を含めた空港施設の運営する海外事業を、ミャンマー・マンダレー国際空港で行うと発表しました。

ミャンマー政府が30年間の長期契約で募集したのは、マンダレー国際空港の施設全般の維持管理を行う企業。JALUX(ジャルックス)と三菱商事はミャンマーの不動産開発会社であるヨマ・デベロップメント・グループと設立した合弁会社「MC-Jalux Airport Services」(MJAS)を通じて、空港の補修、運営、維持管理に関する契約の優先交渉権を獲得し、受注に至りました。

MJASの資本金は400万米ドルで、JALUXと三菱商事がそれぞれ45.5%、ヨマ・デベロップメント・グループが9%の割合で出資を行い、総従業員数は約300人となる見込み。

今後ミャンマー航空局と結んだ事業権譲渡契約に基づき、2015年3月ごろから運営を開始する予定。日本の民間企業としては初めての海外事業となることから、世界中から注目されています。

マンダレー国際空港はミャンマー国土のほぼ中央に位置し、国際線・国内線の旅客ターミナルを持ち、国内11都市と国外4都市を結ぶハブ空港として、ミャンマーで重要な役割を担っています。

長さ4,267mの滑走路は現在1本だけですが、1年間の旅客容量は300万人と推察され、2013年の実績は国際線19万人、国内線56万人の計75万人にとどまるものの、ミャンマーの民主化に伴う経済活動の活発化を背景に、国際線の利用率は年平均60%のペースで急上昇しているのです。

ミャンマーでは官民連携(PPP)による空港施設の改善や運営に向けて国際入札を実施しており、国土交通省はミャンマーへの技術協力やトップセールスなどを武器に日本企業のバックアップをしてきました。

しかしマンダレー国際空港と並行して実施されたヤンゴン国際空港の拡張・運営事業については、地元企業のパイオニアや中国の中国港湾建設などによるコンソーシアムが日本企業を抑えて優先交渉権を獲得しています。

また、ヤンゴン郊外に年間1,200万人の旅客容量を持つ新空港ハンタワディー国際空港の建設・運営事業についても入札が行われ、一旦は韓国企業連合が優先交渉権を獲得しました。

しかしその後交渉が決裂したことから再入札を経て、日揮とシンガポールの建設大手ヨンナム、チャンギ空港の子会社から構成されるコンソーシアムが優先交渉権を獲得。

このようにミャンマーを始めとするアジア各国では、積極的な航空産業への市場競争が活発化しており、日本企業でも活発な動きがみられています。

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