プライベートジェットを中国の富豪に販売したいメーカーに立ちふさがるものとは?

最近は鈍化したとはいえ、中国の経済発展はいまだ継続中。一部の「中国バブルはすでに崩壊している」という主張もどこ吹く風。

豊かになった中国の富裕層が高級外車を乗り回し、ゴルフに興じて、ついでに海外旅行に出かけては様々な国で迷惑をかけているというニュースはよく目にします。

そうした富裕層は、中国産の食品は危険なので、高価でも安全な日本産食品を購入するのだとか。ありがたいと言うべきなのか、ちょっと複雑です。

富裕層の中でもさらに上の層が、そのような贅沢に飽き足らずに手を出すようになったのが「自家用飛行機」つまりプライベートジェットというもの。

確かに、広い中国では飛行機移動の需要も増えています。しかし、さすがにプライベートジェットとはスケールが大きすぎます。

2010年の時点で中国には200機ものプライベートジェットが保有されていました。

特に話題になったのが楽清飛行総会有限公司の許偉傑氏で、なんと個人で11機ものプライベートジェットを所有し、それが高じてプライベートジェットショップまで作ってしまいました。

ただ、このようなかなり調子に乗っているように見える大富豪のプライベートジェット熱も最近は少し冷め気味のようです。

2012年11月、胡錦濤政権から引き継ぎ、習近平が中央委員会総書記として権力を握りました。

習近平は翌2013年には国家主席となっています。

習近平政権発足以来一貫して行われているのが「反腐敗」政策。これは主に共産党員や人民解放軍の軍人の汚職などを撲滅しようというもの。

この反腐敗路線では多数の共産党員が失脚、逮捕されており、最近では胡錦濤政権を共産主義青年団から支えた令計画が失脚したことが大きく報じられました。

これは実際のところ権力闘争の一環としてライバルの追い落としに利用されていると見られているものの、汚職で贅沢三昧の党員が失脚するということで庶民からは一定の支持を得ているようです。

また、汚職の取り締まりとともに「贅沢は敵」という風潮も生まれてきています。党員はもとより、民間の富豪も実のところ共産党幹部とのつながりが強いので、あまり派手な贅沢はできなくなってきました。

プライベートジェットなどは贅沢品の筆頭ということで売上が鈍っています。

これに困ったのが、中国の富豪によるプライベートジェット需要をあてにしていた各航空機メーカー。そこで航空機メーカーは、プライベートジェットを贅沢品ではなくビジネスツールとしてアピールするという販売戦略に変更。

最近の流れは、短距離路線などに使われる小型のジェット旅客機をビジネスジェットに改装するというもの。経済発展持続のため、仕事の効率をあげるための「仕事用」ジェット機という建前があれば、大富豪も共産党中央部の顔色を伺う必要はなくなります。

こうした小型のビジネスジェットの値段はカナダのボンバルディアの製品で約60億円弱、フランスのエアバスの小型機で約95億円と、高額どころの話ではないレベルの価格。

しかし中国のあるシンクタンクの調査によれば、資産がおよそ一億元(日本円で約19億円)以上の「超富裕層」の四割がビジネスジェットの購入を希望しているとのこと。

ただし、中国国内でプライベート所有のビジネスジェットを飛ばすにはいくつかの問題があります。

一つは飛行場の不足。

現在プライベートジェットが離着陸できる飛行場は286ヶ所しかありません。日本人の感覚からすると、286ヶ所の飛行場は十分多いように思えます。しかし、それでも中国全土を網羅するには足りないのです。

もう一つは空域の問題。

中国の空は人民解放軍が牛耳っています。ゆえに、民間機よりも軍の都合が優先され、中国の国内線はしばしば遅延します。

ましてやプライベートジェットとなると、様々な火種をかかえる中国ではより制限が強くなります。なぜならば、いつ誰がプライベートジェットを利用してテロ行為に及ばないとも限らないからです。

近年共産党は農薬散布などに用いるグライダーや軽飛行機が飛ぶ高度1,000メートル以下の空域を開放する予定であり、一部航空機メーカーはこの流れが中国の空の自由化につながる第一歩だとして期待していますが、軍の力が強い中国ではおそらく空の自由化はありえないかもしれません。

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