預けた手荷物を受け取るまでの仕組み

飛行機に搭乗する際、搭乗手続きと同時に荷物をカウンターに預け、到着地で荷物を受け取ります。

一見、何でもないサービスのようにも思えますが、カウンターで手続きをしている乗客の皆さん全てが同じ便というわけではありません。しかしカウンターでは、預けられた荷物は全てカウンター後ろのバゲージハンドリングシステムと呼ばれるベルトコンベアに一律にのせられます。

カウンターで預けられた大量の荷物は、離陸までの間のごく限られた時間内に安全検査に通し、出発便ごとに正確に仕分け、機体まで速やかに運んで積み込みます。1日に数便しか発着しない田舎の空港ならまだしも、飛行機が頻繁に離着陸する空港であれば、空港や各航空会社のスタッフは一体どうやってそれぞれの飛行機に振り分けているのでしょうか。

まず、手荷物を預けるカウンターですが、ここでは手荷物の個数や重量を確認し、出発便別に発行したタグを荷物につけます。壊れ物や精密機械が荷物に含まれている場合は、取り扱い注意のタグがつけられます。

大きな楽器などの特殊荷物には専用のキャリーケースもあり、また、ペットを飛行機での旅行に連れて行くケースも増えているため、そのニーズにきめ細かく応えられるように、ペット用のケージも3サイズが用意されています。

タグには指定されたメイクアップ(帰国時、スーツケースを引取るターンテーブルベルトと同じようなベルトで、出発便用に用意されているベルトの事)情報入りのバーコード・ダグ番号・名前・便名・日付が印刷されてます。ベルトコンベアにのせられた荷物は、仕分け作業が行われる場所まで自動的に運ばれます。

例えば羽田空港のJAL国内線では、カウンターベルトと直線ベルトの2つに分かれています。スーツケースやボストンバックといった荷物はカウンターベルトにのせます。その運搬の途中には、X線検査を行うインライン検査装置と呼ばれる機械があり、荷物をこの中に通すことで、危険物が含まれていないかどうかをチェックします。

一方、直線ベルトは、カウンターの裏から荷物仕分け場所まで一直線に伸びています。楽器やペット、あるいはサーフボードなどの大型荷物は、カーブのあるカウンターベルトでは運べないため、直線ベルトが使われます。

では、ベルトコンベアにのせられた荷物は、カウンター裏に運ばれた後、どのようにして間違いなく各搭乗便に割り振られるのでしょうか。

その荷物がベルトコンベアで運ばれていく先は、出発ソーティングエリアと呼ばれる空港内の作業エリアです。ここには手荷物をコンテナに収容する作業を行うメイクという場所があります。

作業員が、運ばれてきた手荷物をそれぞれの出発便ごとに仕分け、各便に搭載するコンテナの中に積み込んでいきます。コンテナに余分なすき間を作らず、効率的に、そして安定した状態になるように積み込むには熟練の技が必要です。

手荷物が別の便にのせられて、到着地で受け取れなかった、という経験をした方もいるかもしれません。そうした作業ミスの多くは、このコンテナへの積み込み作業の過程で発生します。

そこで、例えばANAでは、便毎に専用のベルトを割り当てています。これまでは、チェックインカウンターで預かった手荷物の4~5便分が同じターンベルトに辿り着き、それを係員が仕分して、目的地別のコンテナに搭載する仕組みになっていました。

しかし、新システムではそれが1便につき1つのベルトにのって流れてくる仕組みに変わりました。これにより誤送の確立が格段に減り、より正確に荷物を搭載できるようになりました。

また、手荷物管理もデータ化し、搭載先を台帳で管理していましたが、新システムはそのバーコードをハンディスキャナーで読み込み、コンピューター上に登録して管理します。

そのため、例えば飛行機が出発する直前になって、旅行を急に中止した乗客の手荷物を返す際、これまでは台帳と手荷物のタグ番号を照らし合わせて探していましたが、新しいシステムでは、システムにタグ番号を入力すると、どこにその手荷物が搭載されているのかがすぐにわかるので、より正確で迅速な対応が可能になります。

直線ベルトにのせられた大型荷物やペットは、一直線のスロープで出発ソーティングエリアまで運ばれ、ここでインライン検査装置に通します。ちなみに直線ベルトは2つに分かれており、ペットは専用ラインを通ってインサイン検査装置を通らずに運ばれるよう配慮されています。

手荷物の積み込みを終えたコンテナは、専用の台車に乗せられて、何台かを連結したタグ車という特殊車両で飛行機の下へと運搬されます。

機体の前方には、貨物室のハッチと地面との間でコンテナを積み下ろしするためのカーゴローダーと呼ばれる車両が待ち構えており、台車に乗って運ばれてきたコンテナをリフトで貨物室まで持ち上げ、機体の中へ積み込んでいきます。

また、機体の後方には、コンテナに搭載されないバラの荷物を個別に積み下ろしするためのハッチもあります。こちらにも、荷物を積み下ろしするためのベルトコンベア装置を備えた専用車両が乗り付けており、ハッチの中に荷物を運び込みます。

大型楽器などコンテナに収まりきらない特殊なサイズの荷物は、すべてここから個別に積み込まれます。ちなみに旅客機の貨物室には、実は乗客の荷物だけではなく、一般の貨物も積み込まれます。

JALではその際、到着時に乗客の荷物をのせたコンテナを真っ先に降ろせるように、出発時にコンテナを積み込む順番を管理しているそうです。

最後に、到着した機体から運び出されたコンテナ内の荷物は、出発時と比べ、安全検査や仕分けといった作業がない分、かなりシンプルです。

まず、機体から降ろされたコンテナは到着ソーティングエリアという作業場所まで運ばれます。

羽田空港に到着するJAL国内便の場合、この到着ソーティングエリアは手荷物受け取り所と隣接していますが、海外の空港では、滑り台のようなスロープから手荷物がベルトコンベアに滑り落ちてくる仕組みになっている空港もあります。

羽田空港のJAL国内便では、すべてが手作業で行われます。

しかも、利用したことのある方で、気付いた人もいるかもしれませんが、乗客が少しでも荷物を受け取りやすいように、スーツケースの取っ手を外側に向けて置くという気配りもされています。

しかし、ここでは手荷物の取り違いが意外に多いそうです。

ありがちなデザインのスーツケースは結構多く、自分なりの目印をつけている人も多いと思いますが、荷物の取り違えは決して珍しいことではありません。

この一連のバゲージハンドリングシステムは数多くのコンベアで構成されており、例えば中部国際空港では総延長約5.5キロ、成田空港第2ターミナルでは約8キロにも及びます。

この手荷物受取所では、自分の荷物がなかなか来ずに、長い間待たされたことのある人は多いと思います。

それを少しでも解消してくれるアイデアとして、空港のベルトコンベアには、例えばお寿司や目玉の親父、讃岐うどん、宮崎牛など、その地域の特産品やキャラクターのオブジェを流しているところもあります。

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