航空機は情報戦略にも活用されているというアメリカの驚愕的事実

米国家安全保障局(NSA)が極秘に大量の個人情報を収集していたことを、米中央情報局(CIA)元職員が告発した事件の衝撃は記憶に新しいところ。

その衝撃冷めやらぬうちに、米連邦保安局(The U.S. Marshals Service)が犯罪捜査のために、携帯基地局を装う装置を搭載した飛行機を活用して多数の携帯通信端末の情報を秘密裏に収集していたというニュースをウォール・ストリート・ジャーナルが報じ、新たな衝撃が走っています。

WSJが米国時間13日に発表した記事によると、米連邦保安局はこの情報収集活動を2007年から秘密裏に行っており、少なくとも5つの大都市圏にある空港で情報収集用の航空機を飛行させ、アメリカ国民のほぼ全ての情報をカバーしていたという関係者の証言を紹介しています。

米連邦保安局が利用していたのは「dirtboxes」と呼ばれる携帯基地局を装う端末を搭載していたセスナ機。

飛行中に接続してきた携帯電話端末の個体情報を収集し、容疑者の使う端末の発信位置を特定することができるシステムとなっていて、その精度は極めて高く携帯電話端末がどの建物の中のどの部屋にいるかまで特定が可能。フライト1回につき数万台分の携帯通信端末の情報が収集できたといわれています。

また特定の携帯電話の信号を妨害したり、特定のテキストメッセージや写真ファイルの情報を取得することも可能だったという報道に、多くのアメリカ国民が米連邦保安局への不信感を募らせています。

この航空機を活用した情報収集は、携帯通信事業者に顧客情報や通話記録などの照会を依頼する従来の犯罪捜査の手法に比べ、手間や時間を大幅に短縮することができるメリットがあると言います。

裁判所の許可を得た上で行われるのであれば、こういった情報収集も合法的なものだという見方もありますが、今回の報道では、犯罪とは無関係な一般携帯電話加入者の情報まで収集していること、収集した後に犯罪とは無関係な人々の情報がどう取り扱われているのかが不明確であることが問題となっているのです。

アメリカでは今年、犯罪捜査の名目でも必要以上に多くの情報を収集し、収集したデータを保存しておくことは憲法違反にあたると連邦控訴裁で判断されており、多くの市民の通信に関する情報を大量に集めた上で必要なものをより分けて利用する連邦保安局のやり方は、米国家安全保障局の個人情報収集事件とともに物議を醸しだしていることは言うまでもありません。

2014年12月時点で米司法省(The Justice Department)はこの情報収集活動に対してついて肯定も否定もしておらず、ベライゾン・ワイアレス(Verizon Wireless)は同プログラムの存在に気づいていなかったとしており、AT&Tやスプリント(Sprint)も同問題についてコメントを控えていると、WSJは報じています。

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