航空行政への客観的批判を日本は受け止められるのか

日本政府は「2020年までに訪日外国人数を年間2,000万人にする」とか「日本の首都空港をアジアのハブ空港にする」などといったことを打ち上げているのですが、スローガンは立派でも大して有効な施策を行っていないというのが現状です。

特に「アジアのハブ空港」についてはシンガポールのチャンギ空港、韓国のインチョン空港、中国の北京首都空港などが覇権を争う中、日本は蚊帳の外といった状況。

2014年11月、国際線を運航する航空会社や旅行代理店などで構成される業界団体・国際航空運送協会=IATAの事務総長兼CEOのトニー・タイラーさんが来日し、記者団との懇談会においてそのような日本の航空行政についていくつかの意見や苦言を残していきました。

まずタイラーさんは日本政府が2020年までに訪日外国人を2,000万人に増やそうと計画していることについて「放っておいても自動的に増える」ようなものではないと切って捨てました。まったくの正論で、「オリンピックがあるから増えるだろう」などという考え方では目標を達成できるはずがありません。具体的な戦略が必要でしょう。

また、「アジアのハブ空港」については空港使用料が他国より割高で、このままでは香港やインチョンには勝てないと指摘しています。ちなみに2015年1月現在、成田空港の空港使用料(旅客サービス施設使用料)は第1・第2ターミナルが2,610円、LCC専用の第3ターミナルが1,540円、羽田空港の空港使用料(旅客取扱施設利用料)は国際線で2,570円となっています。

一方他国の空港は通貨相場によって変動しますが、日本円に直すとインチョンがおよそ2,200円、チャンギ空港がおよそ1,600円、香港がおよそ2,100円と、500円~1,000円程度は安くなっています。それほど騒ぐような差額ではないとはいえ、多少なりとも安い方にというのは人情でしょう。

料金については着陸料についても言及されています。タイラーさんは訪日客数を増やしたいのであれば、航空会社が空港使用のために支払う費用も下げなければ、経済的に価値あるものを開放することにはならないと言っています。

これは首都高の通行料などと似たような問題、つまり料金を取るほうが「いくら必要だからそこから算出していくらとってやろう」という考え方が根底にあるためではないかと思われます。お役所的な金勘定が、利用者の利便性を阻害しているといういい例です。

タイラーさんはまた、空港のキャパシティーについても、成田、羽田ともに消費者のニーズに追いついておらず、まもなく足りなくなるであろうと述べました。そして、首都圏上空の飛行制限を見直し、両空港の発着枠を増やせば単価の引き下げにつながり、航空需要が拡大するなど経済的なチャンスになると指摘しました。

最近は他国の人が何かを批判すると脊髄反射で反発する体質の人がいますが、このような客観的で有益な指摘については虚心に受け止め、具体的な改善策を講じるというのが本当の意味での国益というものではないでしょうか?

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