マッハ5を出すスペースプレインがもうすぐできるかも!?

昔からSFアニメなどでは波動エンジンやら反重力エンジンやら縮退炉やら、そのような架空のエンジンを宇宙船に搭載することで光を超えた速度で宇宙を渡っていく設定が考えられています。

しかし、どうやら現状では光の速度を超える技術の開発は不可能のようで、また、次元をジャンプする「ワープ航法」なども、現実では理論的に無理っぽいと否定されています。

しかし、そこまでいかないまでもマッハ5、つまり音速の5倍を出せるエンジンは、もしかしたら完成するかもしれません。

そのエンジンの名は「セイバー(SABRE)」

セイバーは、飛行機のように滑走路から離陸して宇宙まで到達することを目的とした宇宙飛行機「スカイロン」計画の一環として研究されているものです。このセイバー開発には、イギリス政府が日本円にしておよそ90億円の予算を投入すると表明。2019年にスカイロンの飛行テストを行うことを目指しています。

スカイロンは大気圏内を飛行し、その後宇宙空間まで行くことを目的としているもので、セイバーは大気圏内では通常のジェット機と同じジェットエンジンとして、宇宙空間ではロケットエンジンとして機能するハイブリッドエンジンとして開発されています。

ではジェットエンジンとロケットエンジンはどう違うかというと、ジェットエンジンが空気を取り込んで圧縮させ、燃料と混合させて燃焼させて、そのエネルギーでタービンを回して推力を得るのに対し、ロケットエンジンは推進剤を噴射して推力を得ます。

マッハ5を出すことが求められているセイバーの問題はそれだけではありません。スカイロンがマッハ5で空を飛んだ場合、スカイロンの周囲の空気は圧縮されて1,000度以上の高熱となります。圧縮されて高熱となった空気はエンジンに取り込むことができなくなります。

それを解決するために考えだされたのが、金属パイプを互い違いに並べた「プリクーラー」という冷却装置です。プリクーラーのパイプには液体ヘリウムが循環し、そこを通った1,000度の空気は1/100秒でマイナス150度までに冷やされることが実験で確認されました。

イギリス政府が90億円もの予算を投入することを決めたのも、この実験の結果によりセイバー、そしてそれを搭載したスカイロンの開発が実現可能であると判断したためです。

もしスカイロンが完成し、実際にマッハ5という速度を出すことができたなら、滑走路から宇宙空間までは15分程度、地球一周も理論上8時間ほどでできることになると見られています。

ちなみに90億円というのはあくまでセイバー開発のためだけの予算。スカイロン本体を含めた予算はなんと1,000億円以上と見積もられているのですが、それでもイギリス政府がこの計画を推進する理由は、開発予算が莫大でも、完成後は、従来の打ち上げ式ロケットと比べ、宇宙へ行くまでのコストを95%も削減できるとの試算が出ているからです。

イギリスは、2019年に試験飛行を行い、2022年にはスカイロンで国際宇宙ステーションへ到達することを目標としています。予定通りいけばあとわずか7年後。これが実現すれば、いよいよ人類の宇宙開発が本格的に始まるのかもしれません。

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