旅客機でトイレを使うのが心配な人へ・・・

旅客機の機内でトイレを使うと、空からまき散らすことになるのではと心配する人が、意外と多くいるようです。これは、大昔の飛行機では外に放り出して空中分解するにまかせていた時代があります。それで、現代の飛行機もそうなのではと思いこむ人がいるようなのです。

旅客機に設置されているトイレには、2種類の方式があります。

一つは「循環式」です。

トイレのすぐ下に汚物をためておくタンクがあり、タンク内の水を循環させることでトイレを洗浄しています。

もう一つは「バキューム式」です。

機体の後方に「ウェストタンク」という集中タンクを装備しています。キャビンの数ヶ所に設置されているトイレの汚物を、パイプを通して、まとめて1ヵ所に集める方式です。循環式は以前からある方式で、最近ではバキューム式が主流になりつつあります。

でも、キャビンの各所にあるトイレから、機内後方のウェストタンクへ汚物を集めるのに、循環式のように水を使って送るのでは、大量の水が必要になってしまいます。

バキューム式に採用されたのは、機内と機外の気圧の差を利用する方式です。

地上にいるときは、旅客機の機内も機外も1気圧ですが、高度1万メートルの上空では、機内は0.8気圧、機外は0.26気圧。この気圧差をトイレに利用するのです。

バキューム式では、トイレとタンクをつなぐパイプが機外に通じていてそこにバルブがついています。トイレを使った後、バルブが機外へ向かって開くので、パイプ内の気圧が急激に下がります。

それを利用して、少量の水でも汚物がタンク方向へ吸い出されるようになっているのです。

ですが今度は、旅客機が低い高度や地上にいたときは、その気圧の差が利用できませんから、トイレが使えなくなるのではという心配か出てきます。バキューム式だと、掃除機の原理と同じに、大型の真空ポンプを使って気圧差を作り出すこともできるので、これも心配ありません。

現代の旅客機では、大昔のようにただ機外へ放り出すようなことはしませんから、どうぞ気兼ねせずにお使いください・・・。

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