空港の性質によって「ふさわしい着陸方法」は2種類

住んでいた町の郊外に、新しい地方空港ができたことがあります。現在は韓国の有名俳優がお忍びで訪れたりでたいへん賑わっているそうですが、出来たばかりのころは、一日数回しか飛行機が来ませんでした。

いつ行っても、一本きりのまっすぐな滑走路は空っぽ。おみやげ屋さんとレストランくらいはあったので、地域の人にとって良いデートスポットとなっていたのですが、飛行機見物はほぼ不可能でした。

一回だけ飛行機の姿を見ましたが、何のジャマも入らない、のびのびとした離発着になります。自分一機でゆったり着陸するだけ、ある意味孤独ですが、後から来る飛行機を気にして急ぐ必要もありません。

こういった交通量の少ない空港では、「直接進入」という種類の着陸が可能。一直線の滑走路に向かって、ジャンボ機も一直線に進入し、まっすぐ滑走路に入っていって着陸します。

着陸にはもう1種類あり、「周回進入」というものですが、こういった小さな地方空港でやっても、あまり意味がありません。空港の周りをぐるりと回ってから、はじめて滑走路に向きをあわせ、進入していく方法だからです。

交通量の少ない小さな空港では、空港の周囲にも、ジャンボ機の周囲にも、他の飛行機がいません。誰もいない空港上空を、ぐるりと遠回りしてから滑走路に飛んでいっても、空港周囲の見物にはなるかもしれませんが、燃料消費としてはムダです。

ところが、もし成田やロスなど大都市の空港で、燃料をムダにしないようにと都市見物をガマンして、滑走路へ一直線に「直接進入」をやったとしたら・・・、おそらく空港周辺にいる他のたくさんの飛行機から、いっせいにブーイングが出ることでしょう。

大空港の周りには、数分に一回の離発着を終日行わなければならないほど、たくさんの飛行機が詰めかけています。そんなにたくさんの飛行機が飛んでいる中を「自分だけが滑走路を目指して一直線に飛ぶ」ということは、危なくてできません。

ですから、巨大空港では「直接進入」は有効ではなく、「周回進入」が欠かせません。空港に集まった飛行機に対して、どの飛行機から先に空港に進入し着陸してもらうか、管制が順番を決めます。

ロスの空港で、アプローチが何度もくり返し、ジャンボ機の向きや速度や高度、旋回の方向などを指示してくるのは、これが理由。空港周辺にいる多くの飛行機が互いにぶつかったりしないよう、それぞれがスムーズに滑走路に進入できるよう、管制が道案内をしてくれるのです。

飛行機は管制に指示された順番に従い、規定の周回ルートをたどって滑走路に向かい、進入や着陸を行います。周回ルートは、どこも空港の周囲を大きく一周りするものが多いようです。

飛行機のドラマや映画は、空港の大きさや交通量に関係なく、ほとんどが「直接進入」のようです。たいがい、トラブルを抱えた飛行機をどうやって地上に下ろすかの物語ですから、他の飛行機は安全のため退避してもらっているという想定なのかもしれません。

実際には、大空港で、周辺に他の飛行機が見当たらない中、その飛行機一機だけが空の彼方から一直線に滑走路へ飛んでくる、ということはまずないようです。

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