初飛行が待ち望まれる40年ぶりの国内開発旅客機「MRJ」

日本航空は2014年8月28日、三菱重工業の子会社である三菱航空機が開発した小型旅客機・MRJ(三菱リージョナルジェット)の導入を決め、同機を32機発注したことを発表しました。

MRJは、日本航空機製造が製造したYS-11以来実に40年ぶりとなる日本で独自に開発された旅客機。三菱航空機は、2008年にすでに全日空からの発注を受け、MRJを製造中。初号機の完成予定は今年・2014年秋で、試験飛行などを重ねた後、2017年に納入する予定となっています。

三菱航空機が受注したMRJの機数は国内外の航空会社合わせて400機以上。全日空を皮きりに2017年以降の順次納入を目指しています。

日本航空の植木義晴社長と三菱航空機の江川豪雄会長の共同記者会見で、パイロット出身の植木社長は「MRJは燃費や客室の快適性が高い」「すばらしい飛行機だと確信した」とMRJを称賛。江川会長は日本航空からの受注は国外メーカーより優れた航空機だという裏付けになると自信をのぞかせました。

MRJは47億円で、32機で約1500億円になります。しかし、植木社長は会見で、交渉によりある程度の値引きをしてもらったことを含ませました。

小型旅客機であるMRJは、導入後は国内の地方航路で活躍する予定です。

航空会社は飛行機を自前で購入し所持するか、飛行機を保有する商社や金融機関からリースするかどちらかにしています。これについて植木社長は所持するのかリースするのか明言を避けました。

一方、関係者の間ではMRJの市場価値について注目されています。今年の秋初号機が完成予定のMRJは、当然のことながらまだ初飛行をしていません。つまり、実績がない状態なので、飛行機としての信頼性をこれから実証していかなければならないのです。

それには重要な意味があります。飛行機の信頼性は、航空会社がその機体を購入するか、リースするかの判断基準となるからです。

リースとした場合、航空会社には2つのメリットがあります。

まずコストが抑えられること。買うより借りた方が安くあがるのは言うまでもありません。そして、会社の資産を圧縮できること。購入して自社で保持した飛行機は、会社の資産になりますが、借りた場合はそうではありません。今現在、日本航空と全日空の保有する飛行機のうち2割~3割はリースです。

MRJの「主戦場」は、地方路線が多いアメリカです。現在三菱航空機が受注している400機強のうち370機はアメリカの航空会社が発注したものです。

さてMRJが仮にリースとしての役割を終えた後は「中古市場」に流れる可能性があります。アメリカの航空会社と三菱航空機の間を仲介した三井物産は、MRJが中古市場に流れた後の再販売価値も高いとみているようです。三井物産はエアバスの日本総代理店として飛行機のリース業務での実績があり、MRJの仲介はアメリカでの飛行機リース事業を拡大することにつながると考えています。

現在、三井物産以外にも三井住友フィナンシャルグループと住友商事がエアバスから115機を購入、丸紅はアメリカの飛行機リース会社・エアキャッスルを買収するなど各商社・金融機関は飛行機のリース事業に注力しています。そして、それらの会社は今後MRJをリース用の商材にするつもりでもあるようです。

完成したMRJを工場から搬出するロールアウトは、10月を予定。いよいよMRJの全貌が公開されます。そして、来年・2015年には初飛行が行われます。それに向け、飛行システムの最終確認・調整が進められているところです。実はMRJはエンジンの調達が遅れるなどの理由で初飛行を3度も延期してきました。まずは、来年予定される初飛行によって市場価値を高めることが急務となっています。

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