飛行機の発する警告にも優先順位がある!?

ジャンボ機を空港に「着陸させる」と言いますが、この状態は言い換えれば、意図的にせよ「ジャンボ機が失速している」とも言います。

客室にいると感じにくいのですが、風に乗って勢いに乗って上空を飛んでいる時に較べて、着陸するためにスピードを落としている時のジャンボ機は、姿勢だけで考えると「非常に不安定な姿勢」なのだそうです。

だから、ちょっと風に吹かれても機首が流されてしまうし、着地した瞬間の風に脚を取られてすべってしまったり・・・。それを防ぐために多くの装置が開発され、現在も進化中ですが、ここまで数多くの装置が登場すると、別の問題が起きてくるそうで・・・。

管制官と装置の言ってることが違う。あの装置とこの装置の言ってることが違う。しかも、ごくたまになのだが、装置たちは「言いまちがい」をする。

この問題は実際に起きていて、パイロットや空港の悩みのタネとなっているそうです。

電波は目には見えていませんが、発信する場所があって、受信する場所があって、その間を行きかっているもの。要するに毎日無数のキャッチボールをしているのですから、たくさん投げているうちに、うまく投げられなかったり、うまくキャッチできなかったり、ボールが風に吹かれたり雨に降られたりで届かないとか、そういったことが起きたり起きなかったりするのは、仕方がないところがあるのです。

電波を発射して、そこの山までの距離を調べたり、天気の具合を見ようとするときでも、全く同じ。

調べたいものに電波を当てて、電波がどう返ってくるか。山にボールを投げつけて、どんな風にボールが返ってくるかで、山までの距離を知ろうとするようなものです。

何度もたくさん投げているうちに、山に向かってボールを投げるとき、山にボールが当たるとき、山からボールが返ってくるとき・・・どこかの段階で何かの理由で、ボールがあらぬ方向へ行ってしまう可能性は、常にあるのです。

その関係で、「TCASのメッセージを本物の警報として、優先的に即刻対応せよ」と厳格に命じられているそうです。TCASこそ、数多くの飛行機同士の間で、一秒間に何度も電波のキャッチボールをして、お互いの情報を得るものです。「あの時もこの時も違うことを言った、どうせ今回も違うだろう」で、対応するのは非常に危険。

そこは律儀にやるしかない。忍耐や根気を多く要求される話なのですが・・・。

TCASよりも更に優先されるのは、GPWS・失速警報及びウインドシア警報と決められているそうです。

ウインドシアはダウンバーストなどの影響で、垂直・水平方向に強い風が急速に吹く気象現象。優先度が高いのは、ウインドシアが強烈で、離着陸で姿勢の不安定なジャンボ機が巻き込まれると非常に危険だから。

さらに、管制官と、多くの装置が言っていることがあれもこれも食い違っていたら、どれを優先して考えればいいのか。そのあたりも、きちんと手順が決められ、徹底されているそうです。

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