飛行機に乗るときは運賃とサービスのどちらを重視しますか?

LCCの参入で飛行機の航空運賃がリーズナブルになってきて、飛行機の旅が身近になってきましたが、まだまだ電車やバスに乗る感覚ではないと思います。そんなたまにしか乗らない飛行機のサービスには、無意識のうちにいつもとは違う“何か”を求めてしまいませんか?

少し前の話ですが、スカイマーク社が機内の座席ポケットに入れた「サービスコンセプト」が話題となったことがありました。

“スカイマークでは従来の航空会社と異なるスタイルでサービスをしております”という書き出しで、

「お客様の荷物はお客様の責任において収納をお願いいたします。客室乗務員は収納の援助をいたしません」「客室乗務員の私語等について苦情を頂くことがありますが、客室乗務員は保安要員として搭乗勤務に就いており接客は補助的なものと位置付けております。お客様に直接関わりのない苦情についてはお受けいたしかねます」といった内容など、8項目が記載されているものでした。

当時は「客室乗務員は保安要員」宣言とマスコミに騒がれました。

読み手側に不快な表現があるということは別として、実際に客室乗務員が機内に乗務している第一の目的は保安要員としての役割であることは間違いありませんし、スカイマークが表現したかったのは同社の客室乗務員は公共交通機関として求められるシンプルなサービスを行いますということだったのだと思います。

実際にスカイマークを利用した人の話では、座席上の棚に収納しきれなかった荷物については客室乗務員が他の棚に持って行っていったり、私語も気になることはなく、特に他の航空会社と異なる点はなかったとのことです。

日本では国内の大手2社が航空業界を長くけん引してきたため、大手のサービスがスタンダードと認識されていることが多いのが現状。

また、スカイマークと同時期に設立された新興の航空会社は、運賃は安く設定する一方で、大手に準じるようなサービスをしていた結果、コストがかさみ、経営を圧迫してしまいました。

事実、シンプルなサービスを貫いたスカイマーク以外の新興航空会社は、全てANAの資本を得て共同運航をすることで会社を継続させています。

世界でも経営が順調にいっているエアラインは、大手のようなフルサービスを整えるか、LCCのように安さにこだわり、ドリンク等も全て有料にしてしまうかのいずれかに二分されるのです。

私たち日本人は、LCCなどの運賃が安い航空会社に対しても質の良いサービスを求めてしまいがちです。しかし、笑顔や接客スキルを習得するには訓練が必要で、そこには訓練費が発生するのです。

サービス品質の高さで有名なシンガポール航空では、乗務中に接客についてのクレームがあった客室乗務員は再訓練に投入されることがあるそうです。その場合、訓練を受ける本人と訓練教官の分の人件費が余分にかかってしまうことになるのです。

国内にもLCCが本格参入し、航空業界の競争環境はますます厳しいものとなっています。上質なサービスを受けたければ高い運賃を払い、サービスはそこそこでいいという人は安い運賃で移動手段として割り切る、利用する側が選択する時代に入ってきたということでしょう。

エアアジアは丁寧ではなくフレンドリーなサービスを接客ポリシーとしているなど、航空各社もコストをかけずにオリジナリティあふれるサービスを行うべく、知恵をふるっています。

「安かろう悪かろう」という言葉がありますが、シンプルが悪いことではありません。

利用者側が航空会社のサービスポリシーなどのスタンスを理解することで、納得して楽しめる機内サービスに出会えることになるのではないでしょうか。

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