ジャーマンウィングス墜落事故は、LCCの薄利多売が生み出した歪みなのか

2015年3月24日に発生した、乗員乗客を含め150名の生命が失われるというドイツのLCCジャーマンウィングス9525便墜落事故は、大きな衝撃をもって日本でも報じられました。

さらにその後判明した、精神的に病んでいたとされる副操縦士の人為的な墜落であるとする発表は、更なる波紋を生みました。

9525便を墜落させたと考えられているドイツ人の副操縦士アンドレアス・ルビッツ容疑者は、精神科の医師から乗務不可の診断を下されていたにもかかわらずそれを隠して乗務していたことも明らかになり、元交際相手は事故前に容疑者が業務の負担と薄給への不満をもらしていたことも証言しています。

一般的にパイロットは高給取りと思われていると思いますが、日本以上にLCCの歴史が長く、激戦区でもあるヨーロッパでは、LCCのパイロットの報酬は低く抑えられ、その上に一般航空会社よりも長い乗務時間を強いられているため、精神的な負担が増大しているとのこと。

そういった事情から日本でもLCCがパイロットの確保に苦労しているというのは周知の通りです。

それに加えて、ジャーマンウィングスでは、パイロットの定期健康診断は行っていたものの、精神面の検査は行っていなかったこともわかっています。

もしジャーマンウィングスが、自社パイロットの精神負担が大きいことを把握した上で精神検査を行っていなかったのだとすれば、この事故の責任は副操縦士だけのものとはいえないでしょう。

日本では、1982年に発生した日本航空350便の墜落事故が、精神状態に問題のあった機長による逆噴射が原因であったことから、パイロットは年に一回か二回の精神科医との面談による精神検査が義務付けられています。

それでもLCCがパイロットに激務を課すのであれば、同様の事故が発生する可能性が皆無とは言い切れません。

事故が起きてから泥縄式に対策を強化しても、失われた命は戻りません。なんでもかんでも「安売り」が歓迎される世の中ですが、無理なコスト削減が様々な歪みを生み出すことは、マクドナルドの失敗を見ても明らかです。

多数の人命がかかっている航空業界で、そのような歪みは生み出すべきではありません。そろそろLCCの存在意義そのものを見直す時期が来ているのかもしれません。

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