いよいよ着地、ギアはOK?風はどうですか?

ロサンゼルス国際空港のアプローチ管制官は、扱っている飛行機の数が多くて忙しくて、息を合わせて会話するのが難しい空港だそう。英語圏出身のパイロットでも挫折する人がいるらしく、ロスがこなせるパイロットはベテランと言われています。

アプローチの指示に従って、何度も機首の角度を変えたり、高度や速度を下げて旋回しているうちに、やがて「右に旋回して、機首の角度は230度。滑走路にILS進入」という指示が出されます。

ここから周回ルートを抜けて滑走路に方向を合わせ、進入していくことになります。アプローチの指示通り方向転換すると、実際に目の前に、アプローチに指定された滑走路が見えてきます。

ロスの空港の滑走路は4本、そこから無数の道路が網の目状に展開し、さまざまなデザインの建物が並び立つエリアまで届いています。その建物群と道路全体が、ロサンゼルス国際空港。

滑走路4本はかなり豪快な眺めですが、同じくロスの郊外、ロングビーチ国際空港の巨大滑走路は5本が交差し大迫力。

機長が「ギア・ダウン」を宣言し、オートパイロットを解除。

ここまではアプローチの指示任せ、指示されたとおりをオートパイロットに任せておけば出来るのですが、ここからは手動です。

ギアを操作する場所は、離陸時と同じ。

EICASのすぐ右隣にギアレバー、今度は上中下、三段階ある表示のうち、もっとも下のDNに下ろします。これでギアがすべて出ます。めったにありませんが、この時点でギアが故障などで出てくれない場合があります。

この場合はもちろん着陸中止。いったんやめて上空へ。仕切りなおしです。

すべてのギアが全く出ないということは少ないようで、一本だけ出ないとか、二本だけとか・・・。こういった場合の対応はさまざまにあり、ジャンボ機のギアが出ないくらいで着陸の障害になることはありません。

左の後輪だけが出なかった。右側の車輪が全部出なかった。さまざまなギアの故障にも関わらず、見事な不時着を果たしたパイロットの話がいくらでもあります。

ギアが出ない場合の対処法の一つに、「タッチアンドゴー」があります。滑走路にいったん着陸し、すぐ離陸します。すでに出ているギアを地面にぶつけて、その衝撃で出ていないギアを出そうとするものです。状況によりますが、それだけでギアが出てくれることがあります。

単に、滑走路表面の状況を確認するために行うこともあります。足元がすべりそうな道をちょっと踏んでみて、すべりそうだったらやめるのと同じです。飛行機もまったく同じ意味で、滑走路に対するタッチアンドゴーを行うことがあります。

また、タッチアンドゴーは着陸・離陸を同時に行うので、航空機がフライトする上で行う動作すべてを一気に行うことになります。パイロットにとってよい訓練になるので、よく行われる訓練として知られています。

ギアが無事にすべて出た場合は、もちろん着陸続行。そこで気をつけたいのは横風。

人間が、椅子やテーブルから床へ飛び降りようとしたとき、誰かに横から押されたら、降りようとした場所からずれたり、転んでケガをしてしまいます。

飛行機が滑走路に着陸しようとするときも同じことで、真横から強い風が吹くと、機首の向きが変わってしまったり、極端なときは機体全体が滑走路から外れて転んでしまいます。

ジャンボ機は人間と違って、効率よいフライトのために、風の影響を受けやすい形や構造をしています。だから、よけいにそうなりやすいのです。

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