どうしても着陸できないときは?フライトの安全を守るための手順

巡航高度から降下体制に入る前には、ランディング・ブリーフィングが実施されます。目的地である空港周辺の天候が良くないことが想定される場合、万が一着陸を中断する時の状況、その際の操作手順や方針などについて、その場でしっかりと確認を行います。

ブリーフィングでは、着陸するために必須となる最低気象条件、機体の故障の有無や状態、PF(操縦を担当するパイロット)の資格確認なども行われます。仮に、着陸予定の滑走路がカテゴリーⅢb適用であっても、飛行機側の装備に何か不備などがあり、条件を満たしていない状態では、カテゴリーⅢb着陸はできないことになっています。ワイパーひとつの故障も許されません。また、パイロットにもカテゴリーⅢbに対応した資格を持っていることが求められます。

滑走路、飛行機、パイロット、この3つの条件が全て揃っている状態でのみ、カテゴリーⅢb着陸は可能とされているのです。

さて、羽田空港において、カテゴリーⅡ適用の滑走路34Rに着陸をしようとしている飛行機があります。しかし、30mの決心高度でも進入灯や滑走路が目視確認できない状態だったため、飛行機は仕方なく着陸を一旦断念し、その後エンジンをゴーアラウンド推力に切り替えて再度上昇しなおし、決められた進入復路(ミストアプローチ)の飛行方式に従って空中待機の状態に入りました。

もちろんそのような事態を想定して、飛行機には空中待機する場合の予備の燃料も積んではいますが、航路の途中、パイロットの判断で飛行距離を短くするために行われたショートカット(航空交通管制に対して経由せすに真っ直ぐに飛ぶことをリクエストすることができる)のおかげで、燃料を節約しておいたことが役に立つ場合もあります。

天候が回復し、予定通りの空港へ着陸できるのがベストですが、それが見込めない場合には、仕方なく別の空港へ着陸することもあります。その場合には、航空交通管制に許可と指示を求め、承認がおりるまで待機することになるため、待機時間分の燃料も考慮に入れておく必要があります。

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