話題のエボラ出血熱が「飛行機で世界に伝染」の、可能性は?

エボラ出血熱はアフリカ西部のシエラレオネやギニア、リベリアなどで流行しているものですが、「飛行機によって、この病気が世界中に広まる」というデマが流されています。エボラ出血熱の報道がひんぱんにされていることから、病名のイメージだけが先行して、必要以上に不安を持つ方も多いようです。

エボラ出血熱は空気感染しない病気なので、飛行機で世界中に伝染するようなことはないのですが、人々の不安が高まっていることから、さまざまな影響が出ています。

そういったなか、世界一の国際航空交通量を誇るエミレーツ航空が、ドバイからギニアへのフライトを一時運休したことも、いっそう人々の不安を高めています。

国際航空運送協会(IATA)は、エボラ出血熱は空気感染する病気ではないので、飛行機によってエボラ出血熱がひろがることはありえないと述べています。エボラウイルスに感染した人と、同じ飛行機に乗り合わせたとしても、旅行者が感染する確率は極めて低いとのことです。

しかも、世界保健機関(WHO)は、エボラ出血熱が発生している地域への渡航を制限したり、国境閉鎖の指示は出したりはしていません。IATAも、WHOの指示に従うと述べています。

WHOの発表によれば、次のとおりです。

「エボラウイルスによる症状が現れると、高熱が出たりと身体に異変が起きるため、症状の現れた人はすぐに病院に向かうことでしょう」「飛行機に乗ろうと予定している場合でも、できる限り早く搭乗を中止し、病院へ行くはずです。病院到着後は、他への感染を防ぐため、隔離されて治療を受けることになります」

「エボラ出血熱は空気感染しないのですから、患者が飛行機搭乗中も、飛行機を降りてから病院に向かうまでの間も、周りにいる誰かが感染することはありえません」「念のため、飛行機に同乗した旅行者は記録しておいたほうがよいかもしれませんが、次の感染者が出る確率、旅行者のリスクは極めて低いものと思われます」

ですが、万が一にそなえて、エボラ出血熱の流行地域を訪問しないよう指示している機関もあります。

米疾病対策センターは2014年7月31日、西アフリカのギニア、シエラレオネ、リベリアの3か国へ渡航しないよう警告を発しました。さらに、エボラウイルスに接触した可能性がある人に対しては、念のため21日間の監視期間を過ぎるまで飛行機に乗るべきではないとしました。

また、エボラウイルスに感染した兆候の見られる乗客への対応方法については、ガイドラインも発行しています。

ガイドラインでは、感染の拡大を防ぐため、患者を他の乗客から隔離し、顔を外科手術用マスクで覆うこと、搭乗員は使い捨て手袋を着用すること、そして米疾病対策センターにエボラ患者がいる可能性を報告することなどが指示されています。

しかしこれまでのところ、西アフリカのエボラ流行地域への運航を停止している航空会社は、エミレーツ航空のみです。ブルームバーグ・ビジネスウィークの報道によれば、西アフリカ地域へのフライト最大数を誇るブリュッセル航空や、エールフランス航空、ブリティッシュ・エアウェイズなどは、通常どおりの運航を続けているとのことです。

これらの航空会社は離陸前に、乗員・乗客のスクリーニングを行っています。

また、エールフランスは、ギニアの首都コナクリと、シエラレオネの首都フリータウンの空港発の便について、追加の感染予防策を講じています。エールフランスの発表によると、空港ラウンジに入るとき、乗客はアンケートに記入し、空港内で体温を測り、健康面の問題がないと確認できてから、搭乗券の発行手続きに入っているそうです。

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