速度はスポイラーで下げるもの、逆推力は贅沢品!?

ロサンゼルス国際空港への着陸は、アプローチの指示に従って、周回ルートを追っていきます。空港の周囲をぐるりと回る感じ。どこで向きを変えたらいいか、高度や速度をどう落としていくか、すべてアプローチが教えてくれます。それに、アプローチはロスの空港周辺にいる飛行機を把握していますから、他の飛行機とのかねあいも見てくれます。

たくさんの車が、同じ道に順番に並んで駐車場が空くのを待っているときは、前後の車との車間距離だけを見て、「ぶつかりそうになってないか」だけを確認していれば問題ありません。

ところが飛行機の場合、旋回しながら順番待ちをしているし、それぞれの機体から出ている後方乱気流があります。

充分な「車間距離」をあけていればすむ話ですが、空港の混雑状況によっては、大型機の後方乱気流に小型機が巻き込まれないよう、アプローチはそれも警戒しなければならないのです。実際、大空港で大型機の後方乱気流に小型機がひっかかってしまい、事故になったことがあります。

地方空港などで周囲に他の飛行機がなく、一機のみで直接進入するときは、この心配はありません。周囲の自然環境から来る突風や強風だけに気をつけていればいいことになります。

また、アプローチが指示することの一つに、減速があります。

ジャンボ機を減速する方法はいくつかありますが、ここでは「スピードブレーキ・レバー」を使います。すぐ手元のコントロール・スタンド、スラストレバーの左にあります。

スピードブレーキと呼ばれていますが、スポイラーを操作するものです。

主翼の後方に三段重ねの板が何組かついていますが、それがフラップ、フラップの上にある長い板状のものがスポイラーです。これを起立させると、全体的に素直に流れている主翼の形の一部が変わることになります。

主翼は極端なデコボコのない素直な形をしているので、素直に気流を受けて流して飛ぶことが出来ます。ですがスポイラーが起立すると、一部そうではなくなり、それによって気流の流れの効率を下げて減速させることができるのです。

もちろん、綿密に計算された形をしていますから、むやみに失速するのではありません。きちんとブレーキとして使えるだけの、安定した減速を行うことができます。

他に、飛行機を減速させる方法のひとつに「逆推力装置」があります。スラストレバーに付随しているリバース・レバーで始動できます。エンジンの推力を逆に使う、つまり通常とは逆向きの勢いを飛行機に与えることができる装置です。

実はこの逆推進で後退できるので、トーイングカーなしのジャンボ機だけで自由に行き来できます。でも、空港内をバックするためだけに逆推力では、高い燃料代がもったいない。そこでトーイングカーを使っているのだそうです。

映画などでは、非常事態で緊急着陸した飛行機が、止まりきれないからとよく逆推力装置を使っています。

飛行機自体のまっすぐ前方に向かっているパワーに対して、エンジンのパワーを機体のまっすぐ後方に向かって使えば、前向きのパワーを減少させることができます。そのことで飛行機を減速できますし、滑走距離の短縮にもなります。

結果的にブレーキと同じ働きをしてくれるのですが、映画ならではの、贅沢で豪勢なブレーキを使っているのです。

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