着陸はスムーズでなければ意味がありません

これから着陸に入りますという時、コックピットから見える空港の姿は、意外と狭く小さく、心細いもの。滑走路が一本きりの地方空港だと、白い針を見ているように感じることもあるようです。あそこに機体の向きをきちんと合わせて着陸できるのか、不安なくらい細い道に見えるとか。

このケースの目的地は、オシャレなビルが名物のロサンゼルス国際空港。

逆三角形の形をした北米の左側、左上から右下へ斜めになっている線の、メキシコ寄りのアメリカ側に位置しています。海に面しているので、逆三角形の線の上にあるといってもいいような空港。ニューヨークにつぐ第二の都市、なにしろハリウッドです。ドジャー・スタジアムもあります。

そういう町にある空港ですから、当然、アメリカ有数の巨大空港。日本の地方空港と別世界ですが、これはこれで別の問題があります。

滑走路4本の空港ですが、ちょっと見どれが滑走路かわからないくらい、多くの道が地上に展開しているのです。空港への着陸は、そういう中で行うものです。他と同じ環境の空港はひとつとしてなく、みんな独自の個性があります。

ロスの巨大空港が見えてきたころ、ジャンボ機の巡航高度は3万9000フィートくらい。

このあたりからHFで「サンフランシスコ・レディオ」、VHF「オークラント・センター」、その次は「ロサンゼルス・センター」と、複数の相手と交信しながら、空港に近づいていくことになります。

交信の内容は、ジャンボ機と空港のお互いの情報交換と、滑走路に関する打ち合わせ。空港は、これから着陸しようとしているジャンボ機の情報が必要。ジャンボ機がどこから来たどういった飛行機なのかを確認し、どの滑走路にどう着陸してもらうか、案内しなければなりません。

現在の機体の状態も聞きます。ここに来るまでに機体が故障やトラブルを起こしているなら、内容を詳しく聞いて、その対応もするため。

ジャンボ機の方も、単に使っていい滑走路を知るというだけでなく、気圧や風速や風向き、スムーズに着陸するための情報がたくさん必要。ジャンボ機の方で測定できるものもあるのですが、空港から送られてくる多くの情報は着陸に欠かせません。

機体は問題ないか、空港や滑走路の環境はどうか、どの滑走路をいつ使ってよいか。至近距離に他の旅客機がいるかどうか。そういった情報交換が行われ、ACARSでのプリントアウトも活用されます。

空港への進入前に、機長と副操縦士で「ランディング・ブリーフィング」を行います。着陸方法や気象条件の再確認、着陸にトライしてうまく行かなかったら、「ゴーアラウンド」という方法を行うので、その打ち合わせもしておきます。

降りるだけなら誰でもできる。でもジャンボ機の着陸とは、そういったものではありません。その時々の空港や滑走路の状況と折り合わなければならない。バランスよく静かに、なにより乗客にとって安全で快適な着陸でなければならなりません。

フライト中なにごともなく過ごし、安心しきっていた乗客が、着陸時の一回の振動で「やっぱり飛行機って怖い、もう乗らない」と、なることもあります。

乗客が気分よく飛行機から降りて、ああ快適なフライトだったと感じてくれるかどうかは、着陸で決まると言っても過言ではありません。

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