飛行機が旋回するときに行なう操作と翼の謎

◆飛行機が旋回するときに方向を表す3つの言葉

飛行機が姿勢を変えるとき、大空では雲中飛行はもちろん、見通しのよい青空が広がっていたとしても、フロントガラスから見える景色だけでその傾き加減を知ることはできないため、PFD(プライマリー・フライト・ディスプレイ)の表示を確認しながら実施します。

上昇を続けながら飛行機が円を描いて方向を変える旋回を開始する際に、オートバイが曲がる際に傾くのと同じように、飛行機も遠心力に負けないよう傾く必要がありますが、3次元を飛ぶ飛行機には方向の動きを表す3つの言葉があります。

それは飛行機の左右の傾きを表す「バンク」、機首の上下の動きを表す「ピッチ」、そして機首の向き、正確には方位を表す「ヘディング」。

例えば、「バンク30°で右に旋回する」「ピッチを5°上げる」といったように表現しますが、実際にエアバスA330のPFDではヘディング270°に向けて右旋回すると、水平線が左に傾き始めます。

水平線と垂直関係の「ロール・インデックス」と呼ばれる三角の指針が示す位置で確認することのできるバンク角は、1目盛り10°のため3番目の目盛りまで傾けばバンク角は30°となります。

また、方位指示器は270°に向けて数値が増えていきますが、ヘディングが270°になると次第にバンク角が減り始め、270°で完全にバンク角0°となり旋回終了となります。

◆バランスをわざと崩すことによって自在に旋回できる!?

紙飛行機はバランスよく作らないとまっすぐに飛んではくれず、翼がほんの少しねじれた状態でも右に曲がったり左に急降下したりします。これと同じように本物の飛行機でもバランスが重要ですが、逆にバランスをうまく崩せば自由に曲がることができるということです。

このバランスをうまく崩す装置は、主翼にあるエルロン(補助翼)、水平尾翼にあるエレベーター(昇降舵)、垂直尾翼にあるラダー(方向舵)と呼ばれますが、飛行機の窓際の座席から主翼を見ているとこのエルロンがほんの少し動いただけでも飛行機が大きく傾き始め、エルロンが元に戻っても傾いたままであることがわかります。

自動車のように曲がっている間はハンドルを切った状態にしなければならないのとは大きな違いがありますがそれは一体なぜなのでしょうか?

飛行機の操縦棹を右に回すと左翼のエルロンは下を向き、右翼のエルロンが上を向いてスポイラー(揚力を小さくして抗力を増す板)が立ち上がった結果、左翼の揚力は大きくなり右翼の揚力は小さくなるため、左右のバランスが崩れて右に傾きます。

けれどもこのままだと左右の揚力が崩れたままどんどん傾いてしまうので、傾いた状態のままバランスを保つ必要があります。このため、右に傾いたままでエルロンを元に戻し、所望のバンク角になると操縦棹を元の中央位置に戻すのです。

◆電気信号で制御するフライバイワイヤの役割

エルロンは操縦棹を回す角度が大きくなるほど、エレベーターは高速になるほど操縦棹が重くなるよう人工的な操縦感覚を作り出していますが、これは自動車のパワーステアリングのように高速走行中に急ハンドルを切ると危険なため、高速になるとハンドルが重くなるようにしているのと同様。飛行機も高速で大きな舵を切ると乗り心地が良くないばかりか、飛行機にも余計な力が作用してしまうのを避けるためです。

エアバスA300やボーイングB747-400世代の飛行機では、パイロットが操作する操縦棹の動きはケーブル(金属製の索)や滑車を経由して、エルロンやエレベーターの油圧作動装置(アクチュエータ―)に伝わり作動させていましたが、エアバスA320以降では機械的なケーブルではなく電気信号でエルロンやエレベーターなどのアクチュエータ―を制御するフライバイワイヤ(FBW)が主流となりました。

操縦装置を制御するコンピューターを介してアクチュエータ―を作動させるパイロットの操作には、エアバス機とボーイング機とでは大きな違いがあります。エアバス機では操縦棹ではなくサイドスティックを採用し、たとえパイロットが過大操作をしても保護機能で失速や飛行機への過大な負荷を防止しているのですが、ボーイングB777では操縦棹を残し、高速になると操縦棹が重くなるなど、いままでの飛行機と同じ操縦感覚を実現しています。

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