着陸しようとした空港に「ちょっと待ってて」と言われたら・・・

目的地の空港に着陸させてくださいと言っても「ちょっと待ってて」と言われることがあります。

理由は空港の天気状況だったり、空港に降りたい飛行機がたくさんいて、他の飛行機がまだいるからということも多いようです。

成田空港や羽田空港など、海外の他の国際空港でも、大空港の離着陸は分単位。管制官はレーダーで空港周辺を飛んでいる飛行機の位置を見ているのですが、成田のレーダーに表示される飛行機の数と間隔は、初めて見た人は驚くようです。

レーダー上の飛行機を示す光は数多く、すき間がなく、星空を見ているのと大差ないからです。

管制官はそのすべての飛行機の都合をつけて、「あなたはすぐ降りて」「あなたはもう少し待ってて、前の飛行機がまだいるから」「滑走路があいたから、どうぞ」とやっているのです。

そうでなくても分単位です。「朝から夜まで絶えることなく、数分おきに数多くの車が出入りし続ける巨大な駐車場」空港の飛行機の出入りは、そういった感じのものです。

では「着陸せずに少し待て」と言われたら、どうすればいいのか。

車なら「今こちらの駐車場は使えません」と言われたら、他の駐車場を探しに行くことができますが、飛行機はそれができません。

車よりずっと巨大で、着陸できる地面の条件もきわめて限られます。どこか他に降りたいと思っても、そう簡単には駐機場所が見つからないのです。

駐機できる場所の条件は「飛行機の全体がおさまるくらい、面積が広い」だけでは足りません。

飛行機が着陸したときの振動に耐えられる地面の硬さが必要だし、周辺に民家や建物があっては、万が一を考えたら不安です。硬くて平らで広い場所が見つかったとしても、そこに着陸するまでの頑丈な滑走路も全長2km、余裕を見て3kmくらいは欲しいものです。

飛行機の降りる場所として、海であれば、面積だけを言うなら問題ありません。

海に面している空港は、世界中どこにでもあります。周囲に民家や建物もないし、実際、ジャンボ機がやむを得ず海や川に不時着して、報道されることがあります。

でも、空港が混んでいるからと海に降りてもらっても、乗客が困ります。

それに、海はジャンボ機の着陸場所として、非常に困難な場所です。水面なのでやわらかに着地できるはずだと考える人がいますが、水面に対する角度を誤ると、地面に降りる以上に危険な結果になります。

飛行機は空中を飛んでいるので、自動車のように「今いる場所にとどまって待つ」ということができません。空港に待っててと言われたら、自分が呼んでもらえるまで、どこかの空中を飛び続けるしかないのです。

だからといって、パイロットの気の向いた場所を、気分しだいで飛ばれたのでは困ります。大空港の周辺には、他の飛行機も多くいるので危険。それに「滑走路が空きましたよ」と管制が呼んでくれたときに、その場に駆けつけることができません。

ですから多くの場合「管制に指示された場所」で、旋回飛行することになります。滑走路の順番が回ってくるまでは、そのエリアで旋回飛行です。

この場合、旋回飛行の途中で燃料がなくなっても、燃料を追加する方法はありません。空港の方でもそのあたりを計算して、空港周辺で待っているたくさんの旅客機の中から、どれを先に案内するか、順番を決めることになります。

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