滑走路が水平でないってホント?

皆さんは滑走路を歩いたことはありますか?

滑走路を歩いたことのある人はそう多くはないかもしれませんが、例えば福岡空港で、早朝に滑走路を歩く「福岡空港ランウェイウォーク」というイベントが開催されました。羽田空港でも同じようなイベントが開催され、それに参加したことのある人もいるかもしれません。あるいは、飛行機が滑走路を走行しているとき、路面を注意してご覧になったことはありませんか?

一日に何度も飛行機が離着陸を行うこの滑走路。

一見、外見はただの長大な道路のように見えますが、実は様々な配慮が施されています。

飛行機の機体は数十トン、数百トンにもなります。

その機体が着陸する際、その衝撃に耐えられるように通常の道路などに比べて滑走路は丈夫に作られています。また、夜の便に乗ったことのある人は見たことがあると思いますが、夜間でも離着陸が行えるよう、滑走路に灯器が埋め込まれています。

そして、大型機では離陸速度が時速300kmにも達するため、離着陸時の高速走行においても振動を抑えるために、滑走路表面の凹凸は極めて少なくなるように造られています。

さらに、近代化された空港では滑走路の路面は舗装してあり、舗装のために用いられるアスファルトは、一般の道路で用いられるものよりも遙かに強度が高く、重量の大きな航空機の離着陸に十分耐えられるように改良されたものが使用されています。

この強度はACN-PCN法という方法で表示され、離着陸する航空機の種類にあわせて強度が決められています。

また、硬いアスファルトやコンクリートで覆われ、平らに見える滑走路ですが、実は多くの場合、表面に細かな横溝がたくさん刻まれています。

この溝は「グルービング」と呼ばれ、滑走路を横切るように溝が刻まれています。これは、着陸時のブレーキ性能の向上のため、そして雨天時における着陸では、滑走距離が通常より長くなるため、タイヤと路面の間の排水を助ける役割にもなります。国内空港の滑走路のほとんどは、このグルービングが施されています。また、水はけの効果をより高めるために、滑走路の中央部分が両サイドに比べて少し高くなっています。

この横断面の勾配だけでなく、空港によっては縦断面にも勾配をつけているところもあります。自動車や自転車などで上り坂を上がるときと同様、進入する方向が上りの勾配であれば、着陸時に必要な距離は少なくてすみます。

しかし、滑走路も表面が劣化したり、ひび割れたりすることも少なくありません。そのための修復工事が必要となりますが、運航に支障の出にくい深夜の時間帯に行われています。

また、大きな空港では運航回数が多く、いくつもの滑走路をもつ空港もあります。長い2本の滑走路が並行している空港では、片方の滑走路を離陸専用、もう一方を着陸専用と分けているところもあります。また、夜間の保守作業や冬の除雪作業の際に、片方の滑走路を閉鎖しながら、もう片方の滑走路で運用を続けることも可能です。

長さの違う2本の滑走路が並行している空港では、短い滑走路に着陸できない大型航空機もあるため、離着陸の完全な分離はできませんが、航空機の性能や状態、空港の地上交通を考慮して、使用する滑走路を選択し、効率の良い運用がなされています。

さらに、横風での離着陸の安定を図るため、主要な滑走路とは別に、向きを変えた滑走路を設けているところもあります。このような滑走路のことを横風用滑走路といい、主要滑走路より短いものである場合がほとんどです。

世界の大規模空港は着陸用・離陸用の並行滑走路に加えて、横風用の3本の滑走路をもっている空港が多いようです。D滑走路建設以前の羽田空港では、通常使う滑走路としてA滑走路とC滑走路があり、B滑走路は横風用滑走路となっています。

関連記事

ページ上部へ戻る