着陸時の強い味方!ハイテクナビゲーションシステム「ILS」

長いフライトを経て、飛行機はいよいよ終着地点となる羽田空港の上空にさしかかります。でも、あいにく羽田空港周辺は悪天候・・・上空にはぶ厚い雲が立ち込めていて、視界は真っ白。操縦席の窓からも滑走路がどこにあるかが目視確認できない状況・・・。

ですが、そんなときでも飛行機は見事、安全に指定された滑走路に着陸することができます。パイロットが優秀で腕がいいから?それだけではありません。優秀なパイロットを補助する、ハイテクなナビゲーションシステムがあるからです。

ILS(インストゥルメント・ランディング・システム:計器着陸装置)と呼ばれるそのシステムが、飛行機に対して電波で三次元の情報を送ることで、飛行機は滑走路に向かって精密に侵入し、着陸することができるのです。

飛行機の着陸は、本当に神業。通常、滑走路は45~60mの幅に設定されていますが、それに対して飛行機の翼の幅は、エアバスA380で79.8m、エアバスA330で60.3m、ボーイングB747は64.4m、ボーイングB777-300ERは64.8mなど。このように、飛行機はかなり正確に着陸しなければいけない状況にあるのですが、ILSはこの難しい調整を正確に行い、飛行機を滑走路へと正確に誘うのです。

一方、飛行機サイドにもILSからの三次元情報を受信し、処理する仕組みが備わっています。滑走路の中心線からのズレを確認するローカライザー、傾斜角3°の降下経路からのズレを確認するグライドスロープの2種類の電波し、それらをPFD(プライマリー・フライト・ディスプレイ)と言われる装置に表示しています。

PFD上では、赤いひし形のマークが中心線を表しており、その位置で滑走路や降下経路からのズレを確認することができるようになっています。

もちろんILSは天候が悪い時以外にも使われます。なんらかのトラブルで出発空港に引き返す場合や、最寄空港へ臨時着陸する場合などにもILSを使用して着陸を行うことで、パイロットは余裕を持って状況に対処することができるのです。

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