機種によって違う!?着陸時の飛行姿勢

ILSを使用して着陸する場合、飛行機はどんな機体でも3°角度を保って降下することになります。しかし、実はそのときの飛行姿勢は、飛行機の種類によって大きく違うということをご存じでしょうか?

例えば、2003年に運航を終了した超音速旅客機のコンコルド。デルタ翼の飛行機にはフラップがなく、また失速の心配もないため、着陸時の低速度状態で飛行機を支えるためには、大きく迎え角をとる必要があります。そのため、約11°も機首が上がった姿勢で、3°の降下経路を下りて着陸していました。ただ、その姿勢では操縦席から前方が見えなくなってしまうため、操縦席からの視界を確保するために、着陸態勢に入ると機首が折れ曲がる設計になっているのです。

プロペラ機の場合はどうでしょうか。プロペラ機は低速度状態での性能が良いため、フラップは小さくなっており、また前縁フラップも必要ありません。それでも飛行機を支えるために必要な揚力を十分確保することができるため、機首を水平線よりも少し下げ目に、約-1°で降下します。このため、エンジンの出力も小さく済むのです。

最後はジェット旅客機の姿勢について。後退角にも代表されるように、ジェット旅客機はマッハ0.8前後のスピードが出ている状態で最も性能を発揮できるよう翼が設計されているため、着陸時のような徐行はあまり得意ではないと言えます。

ですから、翼の前後に深い角度のフラップを装備し、かつ翼の迎え角も比較的大きくしておかなければ、低速度状態で機体を支える十分な揚力を確保することができません。

エアバスA330やボーイングB777などの機体は、3°前後の機首上げ姿勢と、それにより大きくなる抗力に対応するための比較的大きな推力(離陸推力の60~70%ほど)が必要となります。

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